本研究では、冬眠哺乳類シリアンハムスターが、冬眠に適した体へと全身を作り替える過程で生じる骨格筋変化を明らかにした。具体的には、1)シリアンハムスターは非冬眠期から冬眠期にかけて骨格筋量を減少させるが、冬眠期の不動状態の間は骨格筋量を維持することを同定した、2)冬眠期のふるえ熱産生に働く広背筋における筋繊維の分布と、その冬眠における変化の詳細を明らかにした、3)遺伝子発現プロファイルから冬眠期骨格筋の性質規定に関わると予想される候補遺伝子群を抽出しその機能解析の準備を行った。これらの知見は冬眠哺乳類の筋萎縮耐性機構に迫る礎となる。
|