研究課題
これまでに、酸化ストレス応答転写因子Nrf2を活性化するスルフォラファンの安定前駆体であるグルコラファニン(GR)が、肥満モデルの体重増加を抑え、2型糖尿病と非アルコール性脂肪肝(NAFLD)の発症を予防することを報告している。本年度は、Nrf2活性化を介したGRの肥満症に対する治療効果を検討した。野生型マウスに高脂肪食(HF)または通常食(NC)を投与して、HF群において肥満を誘導した。HFを継続する群とHF+GRに変更する群とし、肥満に対するGRの治療効果を4週間検討した。GRが2型糖尿病と脂肪肝を合併した進行した肥満モデルにおいて、体重を軽度に減少させ、インスリン抵抗性、耐糖能を改善し、脂肪肝を減弱させる治療効果がみられた。また、肝臓のマクロファージを抗炎症性のM2優位に増加させ、肝臓への抗炎症作用がみられ、インスリン抵抗性や糖尿病の改善に寄与している可能性がある。現在、GRの標的分子であるNrf2に着目し、 GRののエネルギー代謝調節メカニズムの検証を進めている。また、脂肪肝の進行型であり、治療薬の乏しい非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に対するGRの効果を明らかにするために、食餌性NASHモデルにGRを配合し検討を行った。NASHモデルにおいて肝臓の脂肪化、炎症、また、軽度の肝線維化が認められ、早期のNASH病理像を呈していた。しかしながら、GR投与群では、脂肪化、炎症、線維化に対する有意な影響は見られず、NASHに対する組織学的改善は乏しかった。今後、肝臓への強い脂肪毒性により炎症、線維化を伴う進行したNASHモデルに変更し、検証を行う。GRはエネルギー代謝を亢進させ、肥満を抑制することや慢性炎症を軽減することから、肥満および2型糖尿病、NASH/NAFLD等の肥満関連疾患の新規治療薬として期待される。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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