研究課題
本研究では、老化の防止を目指すための運動の理論的基盤の構築と、その応用による運動模倣薬の開発を目的とする。先行研究での運動模倣薬は、運動と併用することでその効果が増強することが報告されている。そこで、昨年度に同定した新規運動模倣薬の候補物質の投与と有酸素運動・筋力増強運動の併用効果を検討した。7週齢の健常C57BL/6マウスに候補物質A・B・Cを4週間、経口投与した結果、候補物質Aのみ単独投与よりも相乗的に持久力が向上することが示された。78週齢の老齢C57BL/6Jマウスに候補物質A・B・Cを4週間投与し、老化指標、運動機能、認知機能に与える影響を検討した。その結果、候補物質Aにより筋力と歩行能力のみ向上する傾向があったが、老化指標と認知機能は変化せず、候補物質による老化の改善効果は認められなかった。さらに、老化に伴い生じる代表的な疾患である骨粗鬆症、廃用症候群、変形性膝関節症、肥満に対する候補物質A・B・Cの影響を検討した。その結果、卵巣摘除による骨粗鬆症モデルと高脂肪食摂取による肥満モデルに対してはいずれの候補物質も改善効果が認められなかった。一方で、非荷重による後肢の廃用症候群モデルに対しては候補物質A・Bにより筋萎縮が改善し、加えて候補物質Bは骨質も改善した。内側半月板不安定化術による変形性膝関節症モデルに対しては候補物質Bにより重症度が低下し、主病変の関節軟骨の変性を抑制した。本研究で新たに見出した運動模倣薬は運動能力向上効果のみならず、廃用症候群や変形性膝関節症の治療効果ももち、運動の全身への多様な効能を模倣できる真の運動模倣薬となる可能性がある。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Physiology International
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Journal of Physiology
10.1113/JP284337
理学療法ジャーナル
巻: 56 ページ: 90-94