研究課題/領域番号 |
19H04053
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
竹谷 豊 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (30263825)
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研究分担者 |
増田 真志 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (50754488)
山本 浩範 仁愛大学, 人間生活学部, 教授 (60314861)
大西 康太 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (80723816)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | リン代謝 / エンハンサー / ビタミンD / 異所性石灰化 / 遺伝子多型 |
研究実績の概要 |
体内のリン濃度は、常に一定になるようにリン代謝調節ホルモンなどの作用により恒常性が維持されている。このリン濃度は、乳幼児期には成人の約2倍程度高く、成長するに従って低下する。この乳幼児期のリン濃度は、成人であれば高リン血症とされ、血管などに異所性石灰化を引き起こすには十分な濃度であるにも関わらず、乳幼児期にはそのような異所性石灰化は生じない。本研究では、体内のリン濃度を決定するリンセットポイントの分子機序を明らかにすると共に、乳幼児期における異所性石灰化を回避するメカニズムを解明する。異所性石灰化は、老化関連病変の1つであり、慢性腎臓病や糖尿病などの多くの生活習慣病においてみられ、動脈硬化などを引き起こし、生命予後を規定する重要な因子である。本研究を推進することにより、老化様病変である異所性石灰化を予防・治療するための新たな標的分子の同定と治療への応用のための基盤的な技術開発を目指す。 令和元年度は、(1)リンセットポイント決定のメカニズムを明らかにすることを目的とし、特に血清リン濃度決定に関わる一塩基多型が組織非特異的アルカリホスファターゼの遺伝子発現に影響することを見出した。肝臓における組織非特異的アルカリホスファターゼ活性の違いが、血中ピロリン酸濃度を介して血清リン濃度に影響すると考えられた。(2)乳幼児期と成熟期における異所性石灰化関連因子の発現について網羅的に解析を行い、乳幼児期における石灰化防御機構を明らかにすることを目的とし、マウスを用い、乳児期と成熟期にそれぞれ高リン食を投与し、異所性石灰化因子の発現を検討したところ、異所性石灰化抑制因子であるFetuin-Aの発現が乳幼児期に増大していることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和元年度は、リンセットポイント決定のメカニズムおよびリン感知機構を明らかにすることを目的とし、特に血清リン濃度決定に関わる一塩基多型が血清リン濃度に影響を及ぼすメカニズムとして、組織非特異的アルカリホスファターゼ遺伝子の発現を制御することを、肝細胞を用いて明らかにできた。また、マウスを用い、乳児期と成熟期にそれぞれ高リン食を投与し、異所性石灰化因子の発現を検討したところ、異所性石灰化抑制因子であるFetuin-Aの発現が乳幼児期に増大していることを見出すことができた。一方で、網羅的な解析については、まだ明確な結果を得るには至っておらず、次年度への課題としたことから、上記の判断とした。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の結果を基に、引き続きリンセットポイント決定のメカニズムおよびリン感知機構の解明を進めるとともに、異所性石灰化抑制因子の網羅的解析を進める。特に異所性石灰化抑制因子の解析には、DNAマイクロアレイを活用した網羅的解析を中心に進める予定である。
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