研究課題
“なぜ運動しないと代謝異常を引き起こすのであろうか。”我々は、筋が活動していないことを感知する機序と代謝異常を感知する機序には共通する部分があるのではないかと考えた。近年、我々は、無重力や寝たきりによる筋萎縮(廃用性筋萎縮)では、筋細胞内に蓄積した酸化ストレスが、ミトコンドリア関連小胞体膜(Mitochondria-associated ER membrane:MAM)構造を破綻させ、萎縮を誘導する可能性を示した。そこで、本研究では、Sol8筋管細胞を模擬微小重力環境(クリノローテーション)にさらし、酸化ストレスがアコニターゼ活性におよぼす影響について調べた。また、抗酸化剤であるN-acetylcysteine(NAC)を用いて、筋萎縮の抑制実験を行った。クリノローテーションは、アコニターゼ活性を阻害するとともに、Atrogin-1やMuRF-1といったユビキチン・プロテアソーム系タンパク質分解経路を亢進させた。NAC処理は、この阻害されたアコニターゼ活性を回復し、ユビキチン・プロテアソーム系タンパク質分解経路を抑制した。さらに、NAC処理群は、クリノローテーションで増加するミトコンドリアの分裂に関与するP-DRP1の上昇を抑制した。これらのことから、マウスに2週間の尾部懸垂を用いた後肢免荷による筋萎縮を誘導した。さらに、筋委縮誘導中に0.3%のNAC希釈液を飲水させ、筋委縮の抑制効果を調べた。結果として、後肢免荷中にNAC希釈液を飲水したマウス群は、水を飲水した群と比較して、有意に筋委縮が抑制された。また、筋肉中のアコニターゼ活性が後肢免荷により低下するのに対し、NAC希釈液飲水群では、アコニターゼ活性の阻害が抑制された。TCA回路のアコニターゼは、廃用性筋委縮によって誘導される酸化ストレスのターゲット酵素の可能性が高いと考えられた。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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