研究課題/領域番号 |
19H04059
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
園生 智広 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (70614866)
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研究分担者 |
河上 和紀 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (00805749)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | サルコペニア / alpha klotho / 骨格筋 |
研究実績の概要 |
2年目の研究結果として、初年度に作成した骨格筋特異的klothoノックアウトマウスの表現型の確認により「骨格筋におけるklothoの働きの解明」および「分泌型klothoの産生組織としての骨格筋の割合」の検討を行った。12週齢での結果として、実験の手技的問題から数セットに分けてサンプルを得ることにしたが、ノックアウトマウスの群で、野生型と比較して血中の分泌型klothoが約20%低値を示したセットもあったが、各群約20匹での統計処理の結果、有意な差は認められなかった。しかしながら、24週齢各群約10匹での結果では、ノックアウトマウスの群で、血中の分泌型klothoが約30%有意に低値を示した。これらの結果から、骨格筋の分泌型klothoの寄与率は加齢と共に変化し、主な産生組織とされている腎臓に加え、無視できない程度(少なくとも3割)には骨格筋も役割を担っている可能性が示唆された。これらの知見は、安静状態のものであるため、今後は腎機能の低下した状態での骨格筋の分泌型klotho産生組織としての働きを明らかにしたいと考えている。 ところで、骨格筋特異的klothoノックアウトマウスでは、野生型と比較して、体重が増加する傾向が観察された。また、雌ではそれらの変化が一切観察されなかった。このことから、骨格筋のklothoは何らかのエネルギー代謝に影響を及ぼしている可能性や、性差が存在する可能性が予想される。さらに、本研究の大本の仮説である、加齢や慢性腎臓病によるサルコペニアに骨格筋のklothoが関与している、というテーマを検討する際の、サルコペニアの指標として、骨格筋重量も考えていたのだが、ノックアウト群の体重増加という結果により、その比較検討が困難である可能性がある。これらは今後の検討課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的のメインである、骨格筋の血中の分泌型klothoの産生組織としての働きを検討する骨格筋特異的klothoノックアウトマウスの表現型の検討は、順調にデータを得ることができている。培養細胞を用いた骨格筋のklothoの働きの検討は、ストレッチ刺激のプロトコル確立に手間取っているが、薬理学的なアプローチの予備実験は終了しており、概ね順調であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
ノックアウトマウスを用いた実験では、腎機能を低下させる方法を用いて加齢モデルとし、その状況下での骨格筋の分泌型klothoの産生組織としての役割を検討する予定であるとともに、加齢や慢性腎臓病でのサルコペニアに骨格筋のklothoが関与しているのかを明らかにしたい。 培養骨格筋細胞を用いた検討では、まず薬理学的な方法を用いて、どのような運動様刺激が骨格筋でのklotho発現に影響を及ぼすのか明らかにしたいと考えている。
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