研究課題
本研究の主要な目的は、筋量・体力に関連するマイオカインの血中濃度を規定する一塩基多型(SNP)を、ゲノムワイド関連解析(GWAS)により同定し、それらを操作変数としたメンデルランダム化解析により血中マイオカイン濃度と心血管代謝リスクとの因果関係を明らかにすることである。本年度は、GWASならびにメンデルランダム化解析を実施するために必要なジェノタイプデータの取得および整備を行った。これと平行して、本研究で解析するマイオカインの選定を行った。対象は40歳以上の男女864名とした。対象者の血液から抽出したDNAについて、Infinium HumanCoreExome BeadChip(Illumina社)を用いてジェノタイピングを行い、約55万個のSNPのジェノタイプデータを取得した。ジェノタイプデータのクオリティーコントロールは、遺伝統計解析ソフトPLINKを用いて行った。SNP call rateが98%未満のサンプル、ジェノタイプデータの主成分分析の結果outlierと判定されたサンプル、ジェノタイプデータより近縁関係にあると推定されたサンプル、1%以上のサンプルにおいてジェノタイプに欠損があるSNP、ジェノタイプ頻度分布がハーディ・ワインベルグ平衡から逸脱しているSNP、マイナーアレル頻度が1%未満のSNPを除外し、最終的に857名、251,125個のSNPがクオリティーコントロールを通過した。また、本研究で解析するマイオカインを選定するため文献を精査した。先行研究において糖代謝や脂質代謝との関連が示唆されており、かつ運動により血中濃度が変動することが報告されているマイオカインを4つ選定し、現在分析の準備を進めている。
2: おおむね順調に進展している
GWASならびにメンデルランダム化解析を実施するために必要なジェノタイプデータの取得および整備が概ね完了したため。また、本研究で解析するマイオカインを4つ選定し、分析の準備を進められたため。
①4つのマイオカインの血中濃度をELISAにより分析し、筋量・筋力ならびに心血管代謝リスク指標との関連を調べる。②本年度に整備したジェノタイプデータのインピュテーションを行う。③インピュテーション後のジェノタイプデータを用いて、血中マイオカイン濃度をアウトカムとしたGWASを行う。④Replication studyのデータセットの整備とDNA抽出を進める。⑤Replication studyのサンプルのジェノタイピングを行い、GWASにおいて血中マイオカイン濃度と強い関連が認められたSNPの再現性を検討する。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件)
Br J Sports Med
ページ: in press
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