研究課題
本年度は、昨年度に選定した3つのマイオカインの血清濃度と骨格筋量および心血管代謝リスク因子との関連性を検討した。また、これらのマイオカインの血清濃度を規定する遺伝子バリアントをゲノムワイド関連解析(GWAS)により探索した。中高齢者939名を対象として、3つのマイオカイン(X、Y、Z)の血清濃度をELISAにより分析し、DXAにより測定した骨格筋指数(四肢除脂肪軟組織量/身長の二乗)との相関を調べた結果、いずれのマイオカインも骨格筋指数と正に相関していた(年齢、性別およびBMIで調整)。また、マイオカインX、YおよびZの血清濃度と心血管代謝リスク因子との相関を調べた結果、収縮期・拡張期血圧および血清中性脂肪濃度はマイオカインXおよびYと正に相関し、血中グルコース濃度とヘモグロビンA1C濃度はマイオカインYおよびZと正に相関していた(年齢、性別およびBMIで調整)。さらに、GWASによりマイオカインX、YおよびZと関連する遺伝子バリアントを探索した。マイオカインXについてはGWASの有意水準(P<5.0×10-8)を満たす遺伝子バリアントはなかったが、マイオカインYおよびZについては、GWASの有意水準を満たす遺伝子バリアントが複数同定された。以上の結果より、①骨格筋量が多いほどマイオカインX、YおよびZの安静時の血清濃度が高いこと、②これらの血清濃度が高いほど心血管代謝リスクが高いことが示唆された。動物実験により、これら3つのマイオカインは健康に有益な影響をもたらすことが報告されている。このことを考慮すると、インスリン抵抗性やレプチン抵抗性のように、マイオカインの抵抗性が生じた者において、心血管代謝リスク因子が高値を示した可能性がある。また、③マイオカインYおよびZの血清濃度と強く関連する遺伝子バリアントが複数同定された。今後、再現性の検討を行った上で、これらを用いたメンデルランダム化解析を進め、因果関係の推定を試みる。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 5件、 査読あり 13件、 オープンアクセス 13件)
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