研究課題/領域番号 |
19H04092
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
石原 進 静岡大学, 工学部, 教授 (10313925)
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研究分担者 |
高井 峰生 大阪大学, 情報科学研究科, 招へい准教授 (90277773)
劉 志 静岡大学, 工学部, 助教 (90750240)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | DTN / 災害避難支援 / 異種無線併用 / 情報配信 / アドホックネットワーク / LPWA / 無線LAN / マルチエージェントシミュレーション |
研究実績の概要 |
昨年度設計したDelay / Disruption Tolerant Network (DTN)を用いた避難支援情報配信と避難行動に関する高抽象度のモデルを拡張し、無線LANによる短距離通信と避難者の移動のみからなるDTNに加え、LoRA等のLPWAによる通信を加えた避難支援情報配信を扱える様にし、LPWAの併用による避難完了短時間化への効果、LPWA基地局の適切な配置戦略を明らかとした。無線LANのみのDTNによる避難情報配信を行った場合、DTNによる情報配信経路の途絶によって一部の避難者が避難支援情報を受け取り損ね、適切な避難経路を通れない状況が発生するが、少数のLPWA基地局を適切に配置することで、このような情報配信漏れを抑制し、避難者全員の早期避難完了が達成できることを確かめた。 避難シミュレーション技法に関する調査を行い、固定基地局を用いるLPWAと無線LANを併用したDTNによる避難支援情報の配信と避難行動、浜名湖周辺の実際の地図を用いた詳細なマルチエージェントベースのシミュレーションモデルの設計をScenargieシミュレータ上で進めた。 Linux上の仮想ネットワークデバイスに基づく無線ネットワークのエミュレーション環境の精度・信頼性の向上を狙い、エミュレーションの規模の拡大、セルラ、LPWA用のモジュール基礎設計を行うものとしていたが、方向性を見直し、DTNの性能予測に必要となる無線LAN、並びにLoRA端末移動時の詳細なネットワーク機器、プロトコルの挙動、並びに通信条件の関係を調べた。この調査を可能とするために、RTK-GNSS、無線LAN、LoRA端末等を組み合わせた測定装置、並びに詳細なログ情報の収集、分析のためのソフトウエア環境を構築した。これらを用いて、車両すれ違い時のバルクデータ転送時の詳細なプロトコル挙動データを収集し、分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、高抽象度のDTNシミュレータの拡張を行い、無線LANとLPWAを併用した異種無線混在型のDTNによる避難情報配信支援のシミュレーションを可能とし、この形式のDTNによる避難支援情報配信の効果、効果的なLPWA基地局の配置方針を得るに至った。当初計画していた短距離無線通信に基づく避難路状態の推定や情報の重要度、緊急度に応じた情報配信の制御に関しては具体的な手法を得るに至ってはいないが、そのための基礎的な戦略に関しては検討を進めつつあり、次年度で具体化できる見通しがある。次年度では詳細シミュレーションに基づく、より複雑な技法について調査を進める予定であるが、そのための準備も進んでいる。今年度、実際のDTNの性能予測のためのツールづくりが進み、簡単な操作で実際のDTNの動作時のデータを収集できる様になった。今後、これを用いてDTNの性能予測技法の開発につなげていく。
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今後の研究の推進方策 |
津波等の災害発生時の避難路の分断が生じた場合における複数無線通信手段を用いたDTNによる避難支援情報の配信とそれに伴う避難者の動きをシミュレートするマルチエージェントシミュレーションモデルを、ネットワークシミュレータScenargie上に構築する。混雑度、避難者の特性(歩行速度、通行可能な条件)などをモデルに組み入れることに重点を置き、これに応じた情報配信戦略の検討を進めていく。特に、短距離通信での通信状況をもとに避難経路の状態を推定するなどの、限られた情報から広域の情報を推定する戦略について検討を進める。 前年度に構築した実環境でのDTN性能評価ツールを活用し、移動する車両間のデータ転送性能を実環境で測定し、移動速度、受信信号品質、トランスポート層プロトコルの挙動も含めた詳細なデータ分析を行い、実用的なDTNにおける転送可能データ量の推定モデルを構築する基礎データとする。また、LoRA WANによるデータ転送可能量についても同様に測定する。これらのデータをもとに、DTNでの移動ノード間のデータ転送可能量の推定モデルを構築し、実動プログラムとして実装する。これにより、状況に応じた転送データの選別を可能とする。
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