本年度は、気づき→確信→制御のサイクルを確立させるための、連携アルゴリズムについて検証を行った。具体的には、これまでに研究開発を行ってきた、端末情報のメタ情報収集、およびオペレーションログの蓄積に加え、大学のキャンパスネットワークで運用中のヘルプデスク業務における問い合わせ内容、中継機器のトラヒックデータマトリクスなどを新たに「気づき」のデータとして加え、「気づき」をより多方面から行うとともに、「気づき」の種類と「確信」に求められるオペレーションの対応づけを行うアルゴリズムを検討した。一方、「気づき」の情報蓄積に求められる「学習データの自動蓄積手法」について、昨年度より検討を行っている、ハニーポットを用いた教師データの逐次蓄積手法に関して精度向上に資する教師データの選別手法についても継続して検討を行っており、ここでは、学習データの自動蓄積が必ずしも精度向上に対して単調増加とならないこと、およびその理由について明らかにした。特に、学習データにおける各ラベルのデータ量の割合と、観測時におけるデータ量の割合に著しい差が生じるとき、結果として特定のラベルに対して過学習となることが示され、これを改善するアルゴリズムの実装を行った。その結果、データ蓄積量の増加に対して精度向上ができることが明らかとなった。さらに課題3として、課題1および2で得られた成果を実運用中のキャンパスネットワークに適用し、本運用における課題抽出と改善を行い、さ らに実用化に要求される品質水準を達成するための性能最適化を行った。
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