研究課題/領域番号 |
19H04100
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
神武 直彦 慶應義塾大学, システムデザイン・マネジメント研究科(日吉), 教授 (20549836)
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研究分担者 |
中島 円 慶應義塾大学, システムデザイン・マネジメント研究科(日吉), 特任教授 (60607802)
小高 暁 慶應義塾大学, システムデザイン・マネジメント研究科(日吉), 特任講師 (60750429)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 信用評価 / 衛星データ / モバイルデータ / 機械学習 / 途上国農家 |
研究実績の概要 |
発展途上国における小規模農家の金融排除の原因である信用情報欠落の解消のために、衛星データと地上データの統合による新規アプリケーションとしての社会実装が可能なデータ駆動型の農地評価及び信用評価の手法を構築する。具体的な目的は以下の3つである。(1)衛星による地区観測データとモバイルアプリケーションを介して農家から直接収集した行動履歴をはじめとした地上データを統合し、借用履歴に代わる小規模農家の信用評価モデルを機械学習により構築し、その妥当性を確認すること。(2)衛星データを駆使した客観的な農作物収量予測及び小希望農家からの収集情報の信頼性検証をはじめとした農地評価手法を確立すること。(3)金融機関の信用評価者の要求事項に基づいた社会実装可能なアプリケーションとして信用評価モデルの運用方法を構築すること。 前述した目的を達成するために本年度は、前年度で構築したモバイルデータに加え、利害関係者からの要求分析をもとにした取得データと衛星データを組み入れた機械学習モデルの出力結果のスコア化を行った。具体的に、スコア化は個人属性、農業従事期間や農作業パターンなどの人的要素と農地面積や作物栽培、収穫量などの農業要素を基に行い、客観的な信用評価ができるようにした。大規模かつ広範囲に収集される情報の信頼性を担保するため、衛星やドローンで取得するリモートセンシングデータを活用し、農家より報告されるスマートフォンアプリを介してモバイルデータの信頼性検証の概念設計を行った。モバイルデータの信頼性の検証だけではなく、衛星データを活用した農地監視活動を通して情報精度の改善効果を得ることを目的に、検証の頻度、範囲および結果の評価や活用手法についても検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の通りの進捗を得ている。本年度は利害関係者からの要求分析をもとにした取得データと衛星データを組み入れた機械学習モデルの出力結果のスコア化を行った。具体的に、スコア化は個人属性、農業従事期間や農作業パターンなどの人的要素と農地面積や作物栽培、収穫量などの農業要素を基に行い、客観的な信用評価ができるようにした。新型コロナウイルス感染拡大のため、現地調査による各農家の精緻な状況データを取得することができなかったため、現地協力機関からの提供データや、衛星画像や統計などのオープンデータを活用することで代替手段とした。大規模かつ広範囲に収集される情報の信頼性を担保するため、衛星で取得するリモートセンシングデータを活用し、農家より報告されるスマートフォンアプリを介してモバイルデータの信頼性検証の概念設計を行った。モバイルデータの信頼性の検証だけではなく、衛星データを活用した農地監視活動を通して情報精度の改善効果を得ることを目的に、検証の頻度、範囲および結果の評価や活用手法についても検討した。
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今後の研究の推進方策 |
信用評価モデルに使用する情報精度の改善効果について対象地域を選定し、信用評価の実証も行う。その上で、信用評価モデルの信頼性検証とモバイルデータの信頼性検証で得られた結果をもとに、実際に社会実装するための信用評価モデルの運用方法の方針を検討する。具体的にはカンボジアの小規模農家および現地金融機関で実際に信用評価を行なっている担当者への聞き取り調査や定常的な対話を通じて要求事項を取りまとめ、評価担当者にとって効果的に情報を提供可能なユーザーインターフェースも設計する。新型コロナウイルス感染省拡大の影響があることから、現地関係者の聞き取り調査に関してはオンラインのコミュニケーションツールを活用することで代替する。また、小規 模農家や低所得者層に対する資金需要と供給の流れを俯瞰的視点で分析を行い、提案する信用評価モデルの運用方法を利害関係者間における情報や資金の循環が可視化されたシステムとして設計する。本研究で得られた成果は国際学会等で学会発表を行うとともに査読論文への投稿を積極的に行う。
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