研究課題/領域番号 |
19H04125
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
星 健夫 鳥取大学, 工学部, 准教授 (80272384)
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研究分担者 |
望月 出海 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教 (30579058)
福島 孝治 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (80282606)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 超並列計算 / 計算統計 / 全反射高速陽電子回折 / 2次元物質 / ベイズ最適化 / レプリカ交換モンテカルロ法 |
研究実績の概要 |
本研究の最終目的は,超並列マシン(スーパーコンピュータ)による計算統計を理論基盤とした,データ解析革新による先端測定技術開発である.本課題では先駆例として,物質表面の原子スケール構造測定手法である全反射高速陽電子回折実験を取り上げた.本年度は,以下(1)-(5)を行った;(1) 前年度開発した解析ソフトウェアを利用した2段階データ解析手法(グリッド探索最適化法+Nelder-Mead型最適化法)を提案し,Ge(001)-c4x2におけるデモンストレーションにより,その有用性を確認した(論文リスト[1]).(2)複雑多層表面構造系であるSi4O5N3/6H-SiC(0001)-(√3×√3)R30°系(論文投稿中:https://arxiv.org/abs/2103.04875), 表面超構造を持つPb/Si(111)系(学会発表あり)などに対して,スーパーコンピュータを用いたデータ解析を行った.手法発展として,感度解析(分散・共分散行列の固有モード解析)を導入し,最適化計算における適切な変数選択を行うための数理基盤を得た.(3) 波及として,東大との連携によりプログラム高度化を行った.新しいアルゴリズム(ベイズ最適化法・レプリカ交換モンテカルロ法)が実装された.ドキュメント(英語・日本語)の整備を行った上で,「2DMAT」の名称でソフトウェアを公開した(https://www.pasums.issp.u-tokyo.ac.jp/2DMAT; https://github.com/issp-center-dev/2DMAT). (4) 要素技術となる順問題高速数値計算解法・計算統計的手法を発展させた (論文リスト[2,3]). (5)成果物ソフトウェア「2DMAT」の普及を目指して,ユーザー向け講習会を準備した(2021年4月20日に開催予定;https://ccms.issp.u-tokyo.ac.jp/event/4570).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
(i) 感度解析(「実績の概要」欄(2))を思いつき実行したことにより,当初予見していた困難(最適化における適切な変数選択)が解消される見通しが立った.(ii) 波及として,東大との連携によりプログラム高度化が行えた(「実績の概要」欄(2)).実験系研究者にも使いやすいソフトウェアが整備されたことにより,当初予定より早く,ソフトウェアのユーザー拡大が図れるようになった.具体的には2021年4月にユーザー講習会が予定されている(「実績の概要」欄(5)).
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今後の研究の推進方策 |
成果物ソフトウェア2DMATが公開されたので,これを中核として以下を行う;(1) 全反射高速陽電子回折実験について応用研究を継続し,成果創出に努める.(2) スーパーコンピュータのさらなる有効活用(1万以上のMPI並列計算)を目標として,ポピュレーションアニーリング(超並列)型モンテカルロ法を実装し,有用性を確認する.(3) 対象実験の拡大のため,2次元物質むけの2種量子ビーム回折実験(表面エックス線回折実験・低速電子線回折実験)に対応させる.
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