研究課題/領域番号 |
19H04129
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
福井 和広 筑波大学, システム情報系, 教授 (40375423)
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研究分担者 |
小林 匠 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (30443188)
飯塚 里志 筑波大学, システム情報系, 助教 (30755153)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 異常検知 / 時系列データ / 差分部分空間 |
研究実績の概要 |
以下の研究実績を得た. 1) 時系列データからゆっくりと変化する成分を抽出する手法であるSlow Feature Analysis,動画像列にデータ順を維持しつつ,ランダムサンプリングを適用するRandomized Time Warpingを用いて,時間伸縮に対して頑健でデータ変化を精密に捉える部分空間の生成法を考案した.得られた部分空間の有効性を生体信号および動画像列を用いて確認した. 2) 時間的に隣接した時系列データから生成される信号部分空間は重なりを生じ易く,最小正準角θを含む上位正準角はゼロに近くなり高い判別能力は期待できない.このような信号部分空間に重複がある場合の差分部分空間の幾何特性を解析し,それに基づいて差部分空間により一般的な定義を与えた.また重複が無い場合でも上位正準角は小さくなり,変化検知が不安定になる傾向がある.この問題を解決するために,時間変化を安定かつ正確に捉えるべく最適な正準角セットの選択法を考案した. 3) 与えられた2つの凸錐間の差分情報を表す凸錐差分部分空間を定義し,これを安定に算出するアルゴリズムを考案した.これに基づいて得られた凸錐差部分空間の有効性を判別能力の観点から評価し,差分部分空間に比べて,より精密に2つのデータセットの差異を捉えることが出来ることを確認した. 4) 差分部分空間に基づく変化検出のフレームワーク全体の有効性検証を行った.時系列データに対して信号部分空間を生成し,時間的に隣接する2つの信号部分空間から得られる差分部分空間の幾何学的な時間変動に基づいて変化検知するアルゴルズムを実装した.生体信号に関する公開データベースを用いた基本動作の検証と性能評価により,本フレームワークが変化検知として有効に動作することを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
各基盤技術に関する研究項目は予定通り実施して,その研究成果を国際学会において発表した.しかしながら,変化検知のフレームワーク全体の設計・実装に時間が掛かり,フレークワーク全体に掛かる研究成果が得られるタイミングが予定よりやや遅れた.このためにフレームワーク全体に関しては,予定していた研究成果の国際学会への論文投稿を見送った.
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今後の研究の推進方策 |
今後,予定していた論文投稿の準備を進める.
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