本年度は以下の研究実績を得た.
1) 特異スペクトル解析に差分部分空間の概念を組み込んだ時系列変化検知法を構築した.特異スペクトル解析に基づく従来法では,連続する2つの信号部分空間の成す最小角を変化度と定義し,変化検知を行っていた.これに対して,本研究では差分ベクトルの一般化である差分部分空間により,2つの信号部分空間の変動方向と大きさを同時に捉える.両指標から新たに定義した変化度を用いて,信号部分空間の微小な幾何変動を捉えることに成功した. 2) 心電などの生体信号公開データセットを用いた評価実験により,従来法と比較して,捉えるべき変化のみを的確に検出する等,提案法の明確な有効性を確認した.その研究成果を信学会研究会とIBISワークショップにおいて発表した.さらに英文論文をArXivに投稿した. 3) 動画像列から構成される時空間テンソルに基づく時系列解析法に,Randomized Time Warpingを組み込んだ新しい識時系列データの表現法を考案した. 4) 3)で開発した方法の有効性をゼスチャーなどの公開動画像列データを用いて確認した.その研究成果を国際学会論文および査読付き雑誌論文として発表した.
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