研究課題/領域番号 |
19H04138
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
久保 尋之 東海大学, 情報通信学部, 講師 (90613951)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 光伝搬計測 / 画像鮮明化 / インダイレクトビジョン |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、シーンのインダイレクト光伝搬の性質に応じて選択的に取得した観測をもとに、物理ベースの数理モデルを用いることでシーンの潜在的情報の可視化を目的とすることである。本年度は、インダイレクト光伝播を計測するために専用の光学デバイスの開発に着手した.まず、レーザー走査型プロジェクタとローリングシャッターカメラを組み合わせて時間同期式のプロジェクターカメラシステムを構築し、インダイレクト光伝搬の観測を行った。本手法の特徴は、プロジェクタが照明を照射するタイミングとカメラが撮影を行うタイミングとの間にごく僅かな時間的遅延を意図的に挿入することで、被写体に光線を照射する位置と反射光を取得する位置との間に僅かなギャップを設けるところにある。この遅延時間の大きさを調節することで、ギャップの大きさを自由に変更することが可能であり、これによって伝搬距離に応じたインダイレクト光伝搬を観測・解析する手法を確立した。さらに、2次元MEMSミラーデバイスを用いた照明システムを構築し、性能評価を行った。本手法を応用して、被写体の材質や内部構造を非破壊で観測することができるようになった。本手法をまとめた成果は可視化分野のトップジャーナルであるIEEE Transaction on Visualization and Computer Graphicsに採録されたほか、世界最大の家電見本市であるCES2020に出展し、アカデミックだけでなく産業界からも大きな注目を集めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究による成果は可視化分野のトップジャーナルであるIEEE Transaction on Visualization and Computer Graphicsに採録されたほか、世界最大の家電見本市であるCES2020に出展し、アカデミックだけでなく産業界からも大きな注目を集めた。このため「(2)概ね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでは光伝搬の空間的な遷移について扱ってきたが、今後は光の波長の遷移についても同様に取り扱うことで、光伝搬の現象そのものをより系統的に取り扱う理論体系を構築する。
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