研究課題/領域番号 |
19H04140
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
上瀧 剛 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (20582935)
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研究分担者 |
白井 啓一郎 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (00447723)
京地 清介 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (70634616)
松井 勇佑 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 講師 (80780676)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | バイナリハッシング / アダマール行列 / Quasi-Perfect-code |
研究実績の概要 |
SNSの普及により増大するマルチメディアデータ(画像・テキスト・動画)のデータ圧縮/検索の効率化の手段としてバイナリハッシングが注目されている。このバイナリハッシング法に関して、申請者らは±1の要素で構成されるアダマール行列を導入し、抜本的な高速化・高性能化を実現してきた。ただし、アダマール行列を構成する系列は、Perfect-codeと呼ばれる理想系列のごく一部に過ぎず、アダマール行列以外のPerfect-codeをバイナリハッシングで活用することで更なる性能改善が期待できる。しかし、一般にPerfect-codeを求めることはNP困難な問題であり、バイナリハッシングで最も用いられる32ビットの系列ですら未知の状態である。そこで本研究では、厳密なPerfect-codeの探求ではなく、バイナリハッシングの適用可能なレベルの近似解の導出 (Quasi-Perfect-code)、数理的解析と効果の検証を行う。昨年度では木探索を用いた32~512-bitsのQuasi-Perfect-codeを求めるアルゴリズムを開発した。しかし、探索により同じハミング距離となる符号列が複数セット求まり、どれを選べばよいか判断ができなかった。さらに、符号セットの選び方によって結果に差が見られた。そこで、本年度ではハミング距離だけではなく、符号間の直交性を選択評価に含める方式を考案した。さらに画像・テキスト間の異なるモーダル間を探索可能なクロスモーダルハッシングへの拡張を行った。クロスモーダルなデータセットであるwikiおよびMSCOCOでの評価を行い、提案する直交性を考慮したQuasi-Perfect-codeを用いた方式に優位性が確認でき、符号間のハミング距離だけではなく直交性が検索精度に相関があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標であったクロスモーダルへの拡張が完了しており順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
初年度で頭を悩ませていた、同じハミング距離の符号列の選択方法に、直交性の指標を導入することで一定の解決を見いだせた。バイナリハッシングにおいて、直交性指標の有効性が分かったため、直接、モデル式に直交性項を積極的に取り入れて最適化を行っていく。
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