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2020 年度 実績報告書

音響空間における次世代スポットエリア再生・集音技術の基盤開発

研究課題

研究課題/領域番号 19H04142
研究機関立命館大学

研究代表者

西浦 敬信  立命館大学, 情報理工学部, 教授 (70343275)

研究分担者 中山 雅人  大阪産業大学, デザイン工学部, 准教授 (90511056)
岩居 健太  立命館大学, 情報理工学部, 助教 (30794507)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードピンスポットオーディオ / パラメトリックスピーカ / レーザマイクロホン / 非線形音響 / 超音波 / 振動
研究実績の概要

音の放射範囲および到達距離を制御可能なピンスポット再生スピーカシステムおよび騒音環境下でも的確に目的音のみを集音可能なピンスポット集音マイクロホンシステムを含む次世代ピンスポットオーディオシステムの総合開発を展開する.これまで我々は音の放射範囲を自由に制御可能なフレキシブルパラメトリックスピーカを世界に先駆けて提案し,試作機も開発した.このフレキシブルパラメトリックスピーカをベースに本研究では,さらに音響ガスレンズ等を活用し音の到達距離も制御することで世界初の音のピンスポット再生に挑戦する.加えてレーザ光を用いて目的音の振動を検知することで遠方音を集音可能な光レーザマイクロホンをさらに高度化して,人の喉の振動を遠方から読み取ることで,周辺騒音に頑健なピンスポット集音にも挑戦し,次世代ピンスポットオーディオシステムの総合開発を試みる.
2020年度は高音圧変調方式の開発を念頭に,新しい変調方式の開発を試みた.その結果,アドバンスドキャリアによるパラメトリックスピーカの音圧改善と周波数ピーク雑音低減手法を確立した.また,骨導パラメトリックスピーカ技術も取り入れ,ウェアラブル可能な小型システム化の検討を試みた.具体的にはこれまでの知見を基に,骨導パラメトリックスピーカを開発し耳元および肩口に搭載可能な薄型点小型音響再生システムへと拡張した.さらに,ピンスポット集音マイクロホンシステムの実現に向けて,レーザ光のシビアなピント調整を前提としない深層学習を活用したラフピント集音技術を開発し,遠方からの目的音の抽出性能の改善に努めた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画通り,2020年度はピンスポット再生スピーカシステムの実現に向けて,高音圧変調方式の開発を念頭に,新しい変調方式の開発を試みた.その結果,アドバンスドキャリアによるパラメトリックスピーカの音圧改善と周波数ピーク雑音低減手法を確立した.本研究テーマに関する研究成果について,学術雑誌論文にも掲載が確定し,十分な研究成果を得ることができた.また,骨導パラメトリックスピーカ技術も取り入れ,ウェアラブル可能な小型システム化の検討を試みた.具体的にはこれまでの音響ガスレンズ等の知見を基に,新たに骨導パラメトリックスピーカを開発し,耳元および肩口に搭載可能な薄型点小型システムへと拡張した.本研究テーマに関する研究成果については国際会議にも採択されており、引き継続き重点的に研究を推進する計画である.
さらに,ピンスポット集音マイクロホンシステムの実現に向けて,レーザ光のシビアなピント調整を前提としないラフピント集音技術を開発し,遠方からの目的音の抽出性能の改善に努めた.レーザドップラー振動計を用いた光レーザマイクロホンは,振動物体に照射するレーザ光源のピントを調整する(合焦にする)ことで高品質な音信号を抽出できるが,シビアなピント調整が必要となり実用化を目指す上で大きな障壁となっていた.そこで本研究では,深層学習を活用しピントレベルに応じた信号復元モデルを構築することで,レーザ光のシビアなピント調整を前提としないラフピント集音技術の確立に成功した.

今後の研究の推進方策

2021年度はピンスポット再生スピーカシステムの実現に向けて,フェイズドアレー制御に基づくさらなる狭指向特性の実現を目指す.現在のパラメトリックスピーカでは超指向性を実現できるものの,可聴領域と非可聴領域の境界となる領域では音漏れが発生しやすく,改善が急務であった.そこでフェイズドアレー制御により,特にパラメトリックスピーカのエッジ部分の超音波素子のみ位相制御を試みることで,放射範囲の更なる狭指向化を目指す.
さらにピンスポット集音マイクロホンシステムの実現に向けて,レーザ光の照射表面に依存しない頑健な音振動・信号抽出技術の開発を試みる.特にレーザドップラー振動計を用いた光レーザマイクロホンは,レーザ光源を照射した物体の表面の影響を強く受けるため,照射物体に対するレーザ光の入射角や表面の条件(形状や素材)により音質が大きく劣化するという問題があった.そこで,深層学習を活用することでレーザ光の照射表面に依存しない頑健な音振動・信号抽出技術の確立に挑戦する.

  • 研究成果

    (28件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (24件) (うち国際学会 11件、 招待講演 1件) 産業財産権 (2件)

  • [雑誌論文] ドバンスドキャリアによるパラメトリックスピーカの音圧改善と周波数ピーク雑音低減2021

    • 著者名/発表者名
      旭 浩平, 森 海里, 中山 雅人, 西浦 敬信
    • 雑誌名

      電子情報通信学会論文誌(D)

      巻: J104-D / 4 ページ: 186-197

    • DOI

      10.14923/transinfj.2020PDP0014

    • 査読あり
  • [雑誌論文] High-presence Sharp Sound Image Based on Sound Blending Using Parametric and Dynamic Loudspeakers2020

    • 著者名/発表者名
      Naoto Shimada, Kenta Iwai, Masato Nakayama, and Takanobu Nishiura
    • 雑誌名

      Journal of Signal Processing

      巻: 24 / 4 ページ: 171-174

    • DOI

      10.2299/jsp.24.171

    • 査読あり
  • [学会発表] 心地良さと快適さを追求する音響イノベーション2021

    • 著者名/発表者名
      西浦 敬信
    • 学会等名
      日本スポーツマネジメント学会第13回大会
    • 招待講演
  • [学会発表] パワースペクトルを用いたGANによる光レーザマイクロホンのための音声強調2021

    • 著者名/発表者名
      CAI Chengkai, 岩居 健太, 西浦 敬信, 山下 洋一
    • 学会等名
      日本音響学会2021年春季研究発表会
  • [学会発表] パラメトリックスピーカにおける調波構造のスペクトル傾斜制御に基づく音質改善2021

    • 著者名/発表者名
      耿 毓庭, 中山 雅人, 西浦 敬信
    • 学会等名
      日本音響学会2021年春季研究発表会
  • [学会発表] 超音波素子の周波数特性に適した有限近似に基づく振幅変調を用いた高調波歪み低減2021

    • 著者名/発表者名
      王 浩南, 中山 雅人, 西浦 敬信
    • 学会等名
      日本音響学会2021年春季研究発表会
  • [学会発表] 直線型パラメトリックスピーカアレーを用いた復調波の波面合成に基づく焦点音源形成の実環境評価2021

    • 著者名/発表者名
      佐山 史織, 中山 雅人, 西浦 敬信
    • 学会等名
      日本音響学会2021年春季研究発表会
  • [学会発表] パラメトリックスピーカを用いたハイブリッド22.2サラウンドにおける仰角パニングに基づく高解像度音像の構築2021

    • 著者名/発表者名
      島田 波音, 岩居 健太, 中山 雅人, 西浦 敬信
    • 学会等名
      日本音響学会2021年春季研究発表会
  • [学会発表] パラメトリックスピーカにおける復調過程の逐次シミュレーションによる復調音の可視化2021

    • 著者名/発表者名
      下方 誠, 中山 雅人, 西浦 敬信
    • 学会等名
      日本音響学会2021年春季研究発表会
  • [学会発表] パラメトリックスピーカにおける矩形波キャリアに基づく復調音の音圧改善の評価2021

    • 著者名/発表者名
      旭 浩平, 中山 雅人, 西浦 敬信
    • 学会等名
      日本音響学会2021年春季研究発表会
  • [学会発表] ライン露光順次読み出し方式カメラによる抽出音声の調波構造復元2021

    • 著者名/発表者名
      吉田 敦史, 岩居 健太, 西浦 敬信
    • 学会等名
      日本音響学会2021年春季研究発表会
  • [学会発表] ライン露光順次読み出し方式カメラを用いた撮影動画像のRGB輝度変位に基づく音声検出2021

    • 著者名/発表者名
      芳澤 翼, 吉田 敦史, 岩居 健太, 西浦 敬信
    • 学会等名
      日本音響学会2021年春季研究発表会
  • [学会発表] Speech Enhancement for Optical Laser Microphone With Deep Neural Network2020

    • 著者名/発表者名
      CAI Chengkai, Kenta Iwai and Takanobu Nishiura
    • 学会等名
      APSIPA-ASC 2020
    • 国際学会
  • [学会発表] EVALUATION OF A MULTI-WAY PARAMETRIC ARRAY LOUDSPEAKER BASED ON MULTIPLEXED DOUBLE SIDEBAND MODULATION2020

    • 著者名/発表者名
      Yuting Geng, Masato Nakayama and Takanobu Nishiura
    • 学会等名
      APSIPA-ASC 2020
    • 国際学会
  • [学会発表] HARMONIC STRUCTURE MASK FOR SPEECH ENHANCEMENT USING SPARSITY REGULARIZATION2020

    • 著者名/発表者名
      Haonan Wang, Kenta Iwai and Takanobu Nishiura
    • 学会等名
      APSIPA-ASC 2020
    • 国際学会
  • [学会発表] Acoustic Space-Sharing with Multiple Parametric Array Loudspeakers for Daily Sports and Exercise2020

    • 著者名/発表者名
      Shiori Sayama, Yoshinori Ogami, Masato Nakayama and Takanobu Nishiura
    • 学会等名
      Forum Acusticum 2020
    • 国際学会
  • [学会発表] Spectral Peak Noise Reduction Based on Frequency-Modulated Carrier Wave with Temporal Adaptation for Parametric Array Loudspeaker2020

    • 著者名/発表者名
      Kohei Asahi, Kairi Mori, Masato Nakayama and Takanobu Nishiura
    • 学会等名
      Forum Acusticum 2020
    • 国際学会
  • [学会発表] Interpolation of Acoustic Signals in Sound Capture with Rolling-Shuttered Visual Camera2020

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Yoshida, Hiroki Shindo, Koichi Terano, Takahiro Fukumori and Takanobu Nishiura
    • 学会等名
      Forum Acusticum 2020
    • 国際学会
  • [学会発表] Audible Sound Enhancement Based on Carrier with Periodic Square-Wave for Parametric Loudspeaker2020

    • 著者名/発表者名
      Kohei Asahi, Masato Nakayama, and Takanobu Nishiura
    • 学会等名
      IEEE 9th Global Conference on Consumer Electronics
    • 国際学会
  • [学会発表] Sound Quality Improvement of Extracted Sound from Video with Rolling-Shuttered Camera2020

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Yoshida, Kenta Iwai, and Takanobu Nishiura
    • 学会等名
      IEEE 9th Global Conference on Consumer Electronics
    • 国際学会
  • [学会発表] Virtual sound source construction based on wave field synthesis using multiple parametric array loudspeakers2020

    • 著者名/発表者名
      Shiori Sayama, Masato Nakayama and Takanobu Nishiura
    • 学会等名
      INTER-NOISE 2020
    • 国際学会
  • [学会発表] Evaluation on multichannel surround sound system with parametric loudspeakers for sharpness of sound images2020

    • 著者名/発表者名
      Naoto Shimada, Kenta Iwai, Masato Nakayama and Takanobu Nishiura
    • 学会等名
      INTER-NOISE 2020
    • 国際学会
  • [学会発表] Visualization of demodulated sound based on sequential acoustic-ray-tracing for parametric array loudspeakers in three-dimensional space2020

    • 著者名/発表者名
      Makoto Shimokata, Masato Nakayama and Takanobu Nishiura
    • 学会等名
      INTER-NOISE 2020
    • 国際学会
  • [学会発表] 光レーザーマイクロホンを用いた振動物体からの音信号の獲得技術2020

    • 著者名/発表者名
      西浦 敬信
    • 学会等名
      日本音響学会誌
  • [学会発表] 光レーザマイクロホンのための深層学習による多段階音声強調の検討2020

    • 著者名/発表者名
      CAI Chengkai, 岩居 健太, 西浦 敬信, 山下 洋一
    • 学会等名
      日本音響学会2020年秋季研究発表会
  • [学会発表] 放射エネルギー最適化に基づくフォルマント強調を用いた音声強調型 パラメトリックスピーカ2020

    • 著者名/発表者名
      耿 毓庭, 中山 雅人, 西浦 敬信
    • 学会等名
      日本音響学会2020年秋季研究発表会
  • [産業財産権] パラメトリックスピーカの音圧改善方法、及び、パラメトリックスピーカ2020

    • 発明者名
      西浦敬信, 旭浩平, 中山雅人
    • 権利者名
      学校法人立命館
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2020-125841
  • [産業財産権] 音声処理方法、音声処理装置、及び、コンピュータプログラム2020

    • 発明者名
      西浦敬信
    • 権利者名
      学校法人立命館
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2020-142158

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公開日: 2021-12-27  

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