| 研究課題/領域番号 |
19H04152
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| 研究機関 | 電気通信大学 |
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研究代表者 |
橋本 直己 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (70345354)
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| 研究分担者 |
佐藤 美恵 宇都宮大学, 工学部, 教授 (00344903)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | プロジェクションマッピング / 空中像 / ライトフィールド |
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| 研究実績の概要 |
今年度は、ステルス投影の光源部分を実現するための検討を中心的に行った。初期構成として昨年度まで採用していた、ダミー物体をリンク機構によって投映対象に同期した状態で動かすアプローチは、装置が複雑化することや、高精度化の難しさが問題としなっていたため、それとは異なる3つのアプローチを採った。
まずは、体積走査型ディスプレイによって、投映対象と同期した立体像を実現する方式の検討を行った。高速回転するLEDアレイを用いる方法と、螺旋型回転スクリーンと高速プロジェクタを組み合わせた方法の2種類に着目し、平行して開発と実装、評価を行った。螺旋型回転スクリーンを用いるアプローチでは大きな進捗を得ることができ、試作システムを用いて動的プロジェクションマッピングへの応用評価を行うことができた。また、LEDアレイを用いるアプローチも、多層化したLEDアレイによる立体的な映像表現を実現することができた。
もう一つのアプローチとして、ライトフィールドディスプレイを光源として用いる方法に取り組んだ。従来、裸眼立体ディスプレイとして用いられてきたライトフィールドディスプレイを、空中に実像を提示するライトフィールドプロジェクタを見なし、この空中像を再帰透過光学系を介して投映対象表面に結像させることで、新たなプロジェクションマッピング方式を提案することができた。また、試作装置を使った動的プロジェクションマッピングンの評価を行う段階まで到達できた。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ステルス投影実現の鍵となる、動く対象に同期した光源の実現方法に関して、3つのアプローチを具体的に検討できたのは大きな成果であった。最も多くの進捗が得られたのは螺旋型回転スクリーンを使った体積走査型ディスプレイを用いるアプローチであり、高速プロジェクタを利用した静止物体への投影から、通常プロジェクタを用いた動的物体への投影まで、幅広い実装と評価を実現することができた。想定していた実験は全て行うことができ、ジャーナル論文の投稿まで行うことができた。
回転するLEDアレイを用いた体積走査型ディスプレイの施策も行い、螺旋型スクリーンを用いた場合との利点・欠点の評価を行うことができた。実装面で多くの改善がまだ必要な状況であるが、今後の研究方針を評価する上で有益な情報が得られたため、有意義な取り組みとなった。
ライトフィールドディスプレイを用いた実装は、アイディアの確立から実装、評価まで実現することができた。このアプローチとしては1年目であったが、予想以上の進展を得ることができた。提示領域や映像の更新速度にまだ課題は残るものの、映像提示能力や実装特性などから、来年度以降もより深く掘り下げていく方針を立てることができた。
その他、投影対象のマーカレス追跡を実現するトラッキング手法に関しても、同期した２眼カメラを使った方法を検討することができた。投影対象を手で把持することが前提となるため、手による隠れに頑健なアルゴリズムの開発を目指したが、トラッキングが失敗するケースの詳細な分析からいくつかの頑健化アルゴリズムを発見し、実験評価を通して実用的な手法を探し出すことができた。
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| 今後の研究の推進方策 |
ステルス投影の光源としては、ライトフィールドディスプレイを用いる方式に焦点を合わせて研究を推進する。前年度提案したライトフィールドプロジェクタは、ディスプレイ面から実像を提示できる距離が短く、またディスプレイ自体の大きさにも制限があったことから、実像提示範囲が大きく制約されていた。また、映像生成にも多くの視点からの映像生成と合成が必要となるため、リアルタイム動作する物体に応じた映像生成性能がまだ不十分であるといえる。これらを改善するために、新しいディスプレイ構成方式を提案し、施策と評価を行っていく。さらに、ライトフィールド技術に着目したライトフィールドプロジェクタは、ステルス投影方式に限らず応用の可能性があるため、幅広い応用用途の検討と評価も行っていく。これと並行して、本手法は新しいアイディアに基づく投影方式であるため、対外的な成果発表にも積極的に取り組んでいく。国際会議での発表やデモ展示を視野にいれて研究を進めていく。
また、前年度取り組んだLEDアレイ回転方式ディスプレイについても、LEDの高密度化による映像表現の改善に取り組む予定である。他に検討している方式と比べてデメリットが多い傾向にあるため、メリットを引き出せることを研究方針とし、成果をまとめていく予定である。
投影対象のマーカレスで追跡する手法に関しては、手で把持することを前提とするロバスト化に取り組んできたため、これまでに提案してきたアルゴリズムを統合して、最終的な仕様を決定する。そして、その成果を取りまとめてジャーナル論文での成果発表を行う。
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