本年度も昨年度に引き続き、(A)実時間システムの最適スケジューリング、(B)推移関係を表すSAT節の削減手法、(C)Robust MaxSATの実装、に取り組み、5件の学術発表を行った。また、当初の予定にはなかった(D) SAT技術のラムゼーグラフ列挙への適用の検討も行った。 (A) 物流センター内の仕分け機の最適化スケジューリングのプロトタイプの拡張の効果を実機シュミレータで行った。実機スケジューリングでは、スケジューリング対象の荷物の数の指数的な組合せのパターンのスケジューリングを行う必要がある。このため、A*アルゴリズムを用いた従来手法では、5個の荷物のスケジューリングが、現実的な時間で計算できる限界であったが、我々の手法では、これを7個まで伸ばせることを実験により確かめた。この結果を利用することにより、実機の搬送能力が従来手法に比べ7%向上することが分かった。 (B) 削減手法の提携構造形成問題(CSG:Coalition Structure Generation problem)への適用の検討を行い、Mc-netsと分割決定木で表現されたCSGを対象に探求を開始した。 (C) 国際会議の論文執筆を進めると共に、Robust MaxSATの新応用への展開を探求した。 (D) 二つのラムゼーグラフを結合してより大きなラムゼーグラフを作る手法をSAT技術を用いて実装した。また、冗長なラムゼーグラフの生成を抑える手法を考案し、その効果を確かめた。
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