研究課題
本研究が目指すのは最新の機械 学習手法に基づいて鉄鋼産業における問題を定式化した上で、生産や操業の効率化を進めることである。以下に、次の 2 つのテーマ【1】操業時の異常検知問題、【2】マルチタスク学習による 高温状態の粘度予測について研究実績の概要を説明する。【1】 操業時の異常検知問題とは、高炉内部の圧力データより異常の発生を事前検知する問題である。ただし、圧力データは高炉内の表面でしか測定することができなく、内部の様子を動的に知る手段が無いのが難点である。我々は、教師あり学習(CNN、MLP、ロジスティック回帰)による異常検知システムを複数構築した。その結果、データの正規化に関する興味深い知見を得た。また、構築した事前予測システムは、すぐに実用に耐えうるものではないが、ある程度予想された傾向を示しており、計算機実験がある程度うまくいっていることを示唆するものである。【2】高温状態の粘度予測モデルの作成とは、【1】と同じく、高炉内の物質の状態を予測するための方法である。ただし、予測するのは異常ではなく混在した物質(スラグ)の粘度である。この指標は高炉内の状態について、【1】とは異なる情報源となるため重要である。我々は実験系においてこれらの状態をシミュレーションする環境を構築し、実際に1500度の環境におけるデータを数点取得し、更に測定されたパラメータから高温状態の粘度を予測することを行った。より具体的には、アインシュタイン・ロスコーのモデルに基づいて、パラメータをガウス過程で予測するセミナパラメトリックガウス過程モデルを構築した。構築したモデルの精度については、共同研究者らに評価を依頼しているところである。
2: おおむね順調に進展している
【1】 操業時の異常検知問題において、共同研究者にポジティブに評価して頂いた。今後は議論を重ねながら精度を高める工夫を行う予定である。【2】高温状態の粘度予測モデルの作成において、共同研究者のポジティブな評価が得られた。今後はフィードバックをとりいれつつ、他の方法との比較も行う。
【1】 操業時の異常検知問題においては、これまでの教師あり学習だけでなく、教師なし学習の導入可能性についても検討する。【2】高温状態の粘度予測モデルの作成においては、データをまとめて論文にまとめる。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件)
Computational and Structural Biotechnology Journal
巻: 18 ページ: 852-860
https://doi.org/10.1016/j.csbj.2020.02.012
Molecular Omics,
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https://doi.org/10.1186/s12859-020-3342-z