研究課題
本研究が目指すのは最新の機械 学習手法に基づいて鉄鋼産業における問題を定式化した上で、生産や操業の効率化を進めることである。以下に、次の 2つのテーマ【1】操業時の異常検知問題、【2】マルチタスク学習による 高温状態の粘度予測について研究実績の概要を説明する。【1】 操業時の異常検知問題とは、高炉内部の圧力データより異常の発生を事前検知する問題である。ただし、圧力データは高炉内の表面でしか測定することが できなく、内部の様子を動的に知る手段が無いのが難点である。我々は、教師なし学習によるアプローチを提案し、実際のデータにおいて高い異常検知性能を示すことを確認した。この結果は国内学会及び国際学会で発表予定である。【2】高温状態の粘度予測モデルの作成とは、【1】と同じく、高炉内の物質の状態を予測するための方法である。ただし、予測するのは異常ではなく混在した物 質(スラグ)の粘度である。この指標は高炉内の状態について、【1】とは異なる情報源となるため重要である。我々は室温及び高温の実験系のデータより溶融物の 粘性の正確な予測を目指した。具体的には、流体力学で知られるEinstein-Roscoeの式をガウス過程回帰で拡張することにより、データ駆動の予測モデルを構築した。シミュレーションデータ及び高温の実験系のデータにおいて提案モデルは従来の機器学習手法よりも優れた回帰性能を達成した。これらの成果は学振第54委員会第197回研究会で発表済みである。
2: おおむね順調に進展している
【1】 異常検知予測システムについては、新機軸である教師なし学習によるアプローチでもある程度の予測精度を達成できることが確かめられた。【2】高温状態の粘度予測モデルの作成においてはEinstein-Roscoe式に基づいた手法が有効であることが確かめられた。
【1】異常検知問題については、教師あり学習、教師なし学習ともに時系列の利用を検討する。【2】高温状態の粘度予測モデルの作成においては、室温データの有効な活用法について検討する。
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BMC Bioinformatics
巻: 21(Suppl 3) ページ: -
Molecular Omics
巻: 16 ページ: -