研究課題/領域番号 |
19H04179
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
秋本 洋平 筑波大学, システム情報系, 准教授 (20709654)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 進化計算 / マルチフィデリティ / 深層学習 / 生成モデル / 非凸制約 |
研究実績の概要 |
当該年度には,以下の2つのテーマについて,研究を実施した. テーマ1:計算精度と計算時間の異なる複数のシミュレータが利用可能な場合に,最適化時間と最適化結果の信憑性の観点から望ましい進化計算アルゴリズムの開発.年度当初の研究計画通り,単目的制約なし最適化に対象を限定し,ルンゲクッタ法やモンテカルロ法といった計算粒度の調整が容易な状況においてシミュレータを最適化過程において適応的に選択するシミュレータ切替戦略を開発した.計算粒度の刻み幅や切替タ イミングについて実験的および理論的な側面から調査した.提案法により,利用者は予め所望の計算精度に応じて適切なシミュレータを選択するといった,試行錯誤に基づく意思決定の必要がなくなり,最適化プロセスの自動化が促進される.本研究成果は,進化計算分野で最も権威ある国際会議GECCO2019にて,フルペーパーとして採択され,発表した. テーマ2:非凸な制約条件により実行可能解集合が分離集合となるような制約付きブラックボックス最適化において,分離実行可能解集合を近似的に凸集合へと射影する写像の学習方法の開発.分離実行可能解集合を持つような最適化問題の最適化は,その網羅が困難な場合に,進化計算による最適化は困難となるため,設計変数の表現方法を予め工夫することが必要になるが,これには専門家の知識と試行錯誤を要する.本研究では,深層ニューラルネットワークを用いた生成モデルにより,定義域が凸集合となる潜在空間から分離実行可能解集合への写像の学習方法を提案した.これを利用した最適化アルゴリズムを,トポロジー最適化を例にとり,有効性の実証実験を行った.本研究成果は,進化計算分野で最も権威ある国際会議GECCO2020にてフルペーパーとして採択されており,発表予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,問題設計者が行っている意思決定のうちシミュレーションベースの最適化を扱う上で一般的に直面すると同時に最適化結果に直結する,(1)目的関数の選択,および(2)設計変数の設計,を自動化することを目的としている.研究実績の概要に示したように,両者について進展があり,いずれも国際会議での公表に至っている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下の点について,本年度の成果を展開する予定である. テーマ1については,本年度は単目的(目的関数が一つ)であり制約条件のない条件下でアルゴリズムを設計した.制約条件がある場合,シミュレーションの計算精度に依存する制約条件と依存しない制約条件が存在するため,これらへの適切な対処が求められる.今後は,この点に関して研究を進めていく. テーマ2については,本年度は制約付き単目的最適化を対象にアルゴリズムを設計した.目的関数が複数ある多目的最適化においては,一つの最適解ではなくパレート解集合の獲得が目的となるため,分離実行可能解集合への対処がより重要となる.この点に関して,研究を進めていく予定である.
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