研究課題
最終年度(2022年度)は柔軟な体幹による二脚及び多脚歩行の実現と両歩行の遷移に取り組んだ.二脚歩行については田熊が研究期間中に開発したロボットを用い,立位において能動的な腕振りと受動的な柔軟体幹の回旋により,足裏にかかる床反力中心が左右に移動することを確認した.これは数理モデルで導出した床反力中心の軌道と一致しており,これまで多くの研究で着目されてきた下半身の運動だけでなく上半身の運動によっても転倒しない歩行の指標である床反力中心を操作可能であることが示された.多脚においては田熊が物理シミュレータで柔軟体幹を有する四脚モデルを構築し,トロットやペース,ウォークといった歩行の速度が体幹の弾性により変化することを確認した.また青井は12脚のロボットを対象に,ピッチフォーク分岐により直進歩行が不安定になることを発見し,曲線運動を誘発すること,またその曲率は体軸の柔軟性によって制御可能であることを明らかにした.更にはピッチフォーク分岐の特性を利用した簡単な制御器を開発し,従来の制御器よりも優れた旋回動作を行うことができることを実証した.運動の遷移については,四脚から直立への転倒しない姿勢遷移のための柔軟体幹の役割を調べるためシミュレーションモデルと数理モデルを構築した.杉本は実機による検証のため,マッキベン型空気圧アクチュエータで駆動する関節の機構を工夫し,関節に楕円形状の膝蓋部を有する跳躍ロボットによる高い跳躍の実現を試みた.これらの研究を通し,二脚においては鉛直軸周りに回旋する体幹関節が有効であること,四脚と運動遷移では屈曲伸展する体幹関節が有効であることが分かった.二脚の運動については現在国際学会に論文投稿中であり,四脚と運動遷移については今後発表を予定している.
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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