研究実績の概要 |
低計算コスト細胞検出アルゴリズム(LCCD):我々が開発したLCCDをCaイメージングデータ解析ツールOptiNiStに組み込み, Github(https://github.com/oist/optinist)で公開した. イメージングデータ解析の発展研究:ドーパミン (DA) がグルコース刺激によるインスリン分泌の負の調節因子として機能することが報告されている.ただし,その分子メカニズムは不明である, 我々は、全反射照明蛍光顕微鏡と我々の解析手法を用いて,初代培養膵島細胞におけるインスリン顆粒エキソサイトーシスを計測し,DA の影響を分析した(Diabetes, 71, 2022). プレパルス抑制(PPI)とは,先行して微弱な刺激を受けるとその後の刺激に対する驚愕反応が抑制される行動現象である.我々は,ショウジョウバエ幼虫におけるPPIの神経回路機序を数値シミュレーションによって調査を行った.既に同定されているハエ幼虫の神経回路モデル中の発見的に定められたパラメータを調整することで,同一のモデル,同一のパラメータによりPPIを含む複数の行動実験結果を再現できることを示した.そして,この神経回路モデルを用いてPPI発生時の各神経細胞の活動度の時間変化を解析することで,先行するprepulse刺激で誘発された特定の神経細胞の活性がPPIに強く関与している可能性を示唆し,その神経回路機序を示した. さらに, Cenutaurin gamma 1A変異体におけるPPI減弱の要因を推測し,その妥当性をシミュレーションにより示した.本研究の結果は,ショウジョウバエ幼虫におけるPPIの回路機序や精神疾患のPPI障害について有用な知見を与え,今後のPPI研究の指針の1つを与えるものである.本研究の成果を取りまとめて,Scientific Reports, 12, 2022に発表した.
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