研究課題
基盤研究(B)
ペプチドの凝集は、アミロイドーシス疾患を引き起こし、また、タンパク質工学における大量発現の障害となる。本研究では、全原子MDシミュレーションとエネルギー表示溶液理論の融合手法によって、熱力学条件の設定が温和でありながらバラエティの豊かな溶媒環境の制御法である共溶媒添加に焦点を当てて、ペプチド凝集の阻害指針を策定した。尿素の添加によってペプチドの凝集が効率的に抑制されることを見出し、さらに、多変量解析によって共溶媒効果を規定する分子間相互作用成分の同定を行った。
理論計算化学
凝集体形成やリガンド結合の平衡定数に対する共溶媒効果は溶媒和自由エネルギーの変化のみで記述できるという定理に基づき、溶媒和自由エネルギーの網羅的解析によって凝集体形成能の共溶媒添加に伴う変化の系統的な解析を可能としたことに学術的な意義がある。アミロイドーシス疾患に関わるペプチド系を検討対象として現実的な設定における共溶媒添加効果を定量化し、共溶媒効果を規定する分子間相互作用成分を同定したことに社会的な意義がある。