研究課題
本年度は、まず、研究代表者と研究分担者による本研究推進のための詳細な打ち合わせ会議を実施し、実験実施計画の確認と担当するデータ解析に関する相互情報交換について協議した。特に本研究課題では、網羅的解析を目指す観点から、メタゲノム解析(次世代シーケンス法)、トランスクリプトーム解析(DNAマイクロアレイ法)、およびメタボローム解析(GC-MS法)についての共通理解を図った上で、研究スケジュール確認を行うことができた。予備実験で得られた試料を用いて、マイクロアレイ用のサンプルで、single-stranded cDNA調製、収量確認(バイオアナライザ法)、断片化とラベリング、さらにハイブリダイゼーション、スキャンの一連の行程が滞りなく行われることを確認できた。また、血漿のメタボローム解析(5990-3638JAJP)と糞便中の短鎖脂肪酸の分析(5991-9103JAJP)が可能となるGC-MSシステムの構築も進展してきている。一方、動物実験は、胚からのTlr5遺伝子欠損マウス作成が進んでいる。すでにTlr5遺伝子欠損マウスの活動性が自発運動によって高まる可能性は見出せており、腸内細菌叢の変化を伴っている可能性は、結果として得られつつある。4週齢~24週齢の間で回収できた糞便サンプルを用いて、腸内細菌叢を次世代シーケンス法にて解析し、最も自発運動量と関係性が高かった門は、Bacteroidetes門であり、その中で属レベルで、Odoribacter、S24-7;g_、Bacteroides、Bacteroidales;f_;g_、Bacteroidales;Other;Otherが説明変数として採択されている。しかし、現段階では、まだ網羅的解析までは至っていない。
4: 遅れている
他施設での動物実験を予定していたため、内規上、複数の動物実験委員会での倫理審査、さらにはノックアウトマウスを使用するための組換えDNA実験安全委員会審査に結構な時間を費やしてしまった。同時に、ノックアウトマウスについて胚を購入し、繁殖を行う作業を導入した関係で、予想以上に実験準備に時間を要する結果となってしまっている。これまで得られているサンプルを用いて、解析を行うなどの手段で、今のところ対応しているが、本格的な研究は、今後という状況である。COVID-19感染拡大を受け、非常事態宣言下では、動物実験も予断を許さない状況が続いている点も懸念材料である。
遅れているTlr5遺伝子欠損マウスの動物実験をスタートし、運動パフォーマンスに関連する網羅的解析を進めるとともに、各種糞便サンプルを用いたFMT実験を今年度中に実施する予定である。また、高スペックのワークステーションが導入できたことで、大容量データ処理の高速化が期待できることから、バイオインフォマティクス解析へのステップアップを随時図っていく。研究分担者との情報交換にはZoomを用いた遠隔地Meetingを導入し、適宜実施していくこととしている。
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イルシー
巻: 138 ページ: 34-41