研究課題/領域番号 |
19H04213
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
矢野 博己 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (20248272)
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研究分担者 |
中井 雄治 弘前大学, 地域戦略研究所, 教授 (10321788)
長野 隆男 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (20304660)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 身体活動性 / Tlr5遺伝子欠損マウス / 腸内細菌叢 |
研究実績の概要 |
生活習慣病の発症は、大きな社会問題であり、原因の1つとして腸内細菌叢の関与が指摘されるようになった。加えて、運動習慣の獲得の有無もまた、腸内細菌叢に依存しているとするならば、腸内細菌叢の改善を促すことで、不活動予防効果が期待できることになる。本研究では、この命題に対して、腸内細菌叢の変化によって高い活動性を示すようになるToll-様受容体5 (Tlr5) 遺伝子欠損マウスを用いて、網羅的解析技術を駆使した解明に挑むとともに、腸内細菌療法の画期的な方法のひとつである便移植法による検討を行う。 実験:本年度は、COVID-19感染拡大を受け、動物実験の実施も予断を許さない状況が続いている点にも配慮しつつ、継続的にTlr5遺伝子欠損マウスの運動パフォーマンスと腸内細菌叢との関連についての解析を実施した。実験動物には、4週齢、C57BL/6J野生型(wild type: WT) マウスと、同じバックグラウンドのTlr5遺伝子欠損型(Tlr5 knock out:KO5) マウスを使用し、20週間の安静(Ctrl) または自発運動(WR: 個別飼育で24時間アクセス可能な回転輪を設置)を負荷した。糞便の回収は、0、4、10、20週目とし、糞便からのDNA抽出後、次世代シーケンス法で腸内細菌メタゲノム解析を実施できた。 解析:高スペックのワークステーションが導入できたことで大容量データ処理の高速化が可能となり、バイオインフォマティクス解析へのステップアップとして、群間比較解析(LEfSe)解析、R言語を用いたVolcano plots解析やHeatmap解析による腸内細菌叢の可視化が容易に可能となった。 第2回推進ミーティング:研究代表者、研究分担者による本研究の進捗状況報告、ならびに今後の方向性についてのZoom会議を、4月と9月の2回実施できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
他施設利用による動物実験のため、複数の動物実験委員会倫理審査、またノックアウトマウス使用ための組換えDNA実験安全委員会審査が必要だったものの、全て完了できた。さらに、ノックアウトマウス作成についても、胚を購入した繁殖にやや時間を要したものの、こちらも解決できている。一方で、随時購入していた対照群(野生型マウス)の表現型が安定せず、表現型の再現性に難点が生じており、本格的な研究には更なる時間を必要とする状況が続いている。COVID-19感染拡大を受け、引き続き動物実験実施も予断を許さない状況が続いている点も懸念材料である。
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今後の研究の推進方策 |
対照群(野生型マウス)の表現型安定化のために、Tlr5ノックアウト遺伝子ヘテロ型のマウスを作成し、ヘテロマウスのクロス交配を繰り返し、ノックアウト遺伝子がホモ接合のマウスおよび野生型マウスを作ることで、問題解決を図り、動物実験を実施する。そして、運動パフォーマンスに関連する網羅的解析を進めるとともに、各種糞便サンプルを用いたFMT実験を実施する予定である。また、遺伝子改変細胞モデル実験についても、ゲノム編集操作を導入した細胞株作成が進みつつある。
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