研究課題
今年度は実験計画を見直し、リターメイト対照群を作成した動物実験から、腸内細菌叢のNGSによるゲノム解析、脳内遺伝子発現のDNAマイクロアレイトランスクリプトーム解析、盲腸および血液中の代謝物のメタボローム解析を実施し、その上で得られたデータのバイオインフォマティクス解析を実施する予定で進めた。実験にはTLR5遺伝子欠損(KO5, n=15)及び野生型(WT, n=16)雄マウス(C57BL/6J, 4週齢)を使用し、それぞれに自発運動(W:個別飼育で24時間アクセス可能な回転輪を設置したケージを使用)、または安静(C)を負荷した。腸内細菌叢の解析には回収した糞便を使用し、次世代シーケンス法にて行った。20週目の体重変化で、遺伝子欠損による有意な増加 (p<0.01) と、運動による有意な増加抑制が観察された。副睾丸上体脂肪重量も、遺伝子欠損による増加傾向 (p= 0.05) と、運動による有意な増加抑制が観察された。空腹時血糖値も同様の傾向であった。腸内細菌叢α-多様性は、Tlr5遺伝子欠損により有意に高値を示した。β-多様性は、Tlr5遺伝子欠損とWTで異なる2つの集団に分類された。KO5マウスの運動による増加が観察されたムチスピリウムはプロピオン酸とコハク酸との間に正の相関関係が、パラシュッテレーラは、プロピオン酸と正の相関関係が示された。また、アネロプラズマはコハク酸と正の相関関係が示された。KO5マウスで誘導される体重増加亢進、および脂肪蓄積、ならびに糖代謝機能低下は、自発運動習慣によって予防できることが示された。腸内細菌叢の多様性のレベルでは、遺伝子欠損の影響のみ観察されたものの、ヒートマップレベルで比較することで、いくつかの運動によって変化した菌と代謝機能に関与する短鎖脂肪酸産生能との間に明らかな相関関係が示された。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nutrition
巻: 101 ページ: 111705~111705
10.1016/j.nut.2022.111705