研究課題/領域番号 |
19H04214
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
岡 瑞起 筑波大学, システム情報系, 准教授 (10512105)
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研究分担者 |
池上 高志 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (10211715)
橋本 康弘 会津大学, コンピュータ理工学部, 上級准教授 (10376494)
CHEN DOMINIQUE 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (50801784)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | テンポラルネットワーク / embedding |
研究実績の概要 |
さまざまなシステムのネットワーク表現が広く普及したことにより,ネットワークの構造を分析する手法や,情報の拡散,伝染病の蔓延など,ネットワーク上で起こるプロセスを分析する手法が盛んになっている。これらの研究は、最近では、ノードやリンクが時間的に現れたり消えたりするようなテンポラルネットワークの場合にも拡張されている。その中で特に、ネットワークノードの低次元ベクトル表現は、グラフデータを機械学習アルゴリズムに提供したり、多様なタスクのパフォーマンスを向上させたりするのに成功している。しかし、ほとんどの埋め込み技術は、ネットワークの構造やパターンを低次元で高密度に表現することを目的として開発されてきた。本年度は、主にテンポラルネットワーク上で発生する動的なプロセスの情報を、ネットワーク構造そのものではなく、低次元の特徴ベクトルとして提供することを目的としたノード埋め込み技術を提案した。これにより、プロセスの発展や結果に関する予測タスクを可能にしている。提案手法は、テンポラルネットワークの可逆的なsupra-adjacency表現を用い、ランダムウォークに基づく静的グラフの標準的な埋め込み技術を構築することでこれを達成した。結果として得られた埋め込みベクトルは、さまざまな実データにおけるテンポラルネットワーク上での伝染病の広がりやソーシャルネットワークの情報拡散の動的プロセスに関する予測タスクに有用であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Network Hawkes過程を用いたキーストーンの検出と分析やテンポラルネットワーク上で発生する動的なプロセスの情報を低次元の特徴ベクトルとする手法の提案に関する研究成果が、国際学会(The 2020 Conference on Artificial Life)や国際論文(EPJ Data Science)に採録された。
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今後の研究の推進方策 |
本研究プロジェクトを通して培ったNetwork Hawkes 過程やテンポラルネットワークの埋め込み技術をソーシャルネットワークの予測だけではなく、他のタスクへの応用可能性を探りたい。例えば、SNSといった大規模なデータストレージ管理が必要なサービスでは、省電力化が大きな課題となっている。そこで、ソーシャルネットワークにおけるコンテンツへのアクセスパターンを予測し、アクセスの少ないコンテンツは低速・大容量・小電力に、アクセスの多いコンテンツは高速・小容量・高電力なストレージに格納することで、省電力化へと繋げるといった応用分野を検討している。
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