研究課題/領域番号 |
19H04226
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
川嶋 宏彰 兵庫県立大学, 情報科学研究科, 教授 (40346101)
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研究分担者 |
藤本 徹 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 准教授 (60589323)
島田 敬士 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (80452811)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ラーニングアナリティクス / 学習支援 / デジタル教材 / 映像講義 / 視線解析 |
研究実績の概要 |
本課題で構築しようとする,視線や教材閲覧による詳細な学習行動計測,学習者の知識や興味・関心などの状態推定,学習者への密なフィードバックという学習支援ループのうち,2020年度は,行動分析に基づく可視化フィードバックの基礎的検討をはじめとして,次の研究項目に取り組んだ. 1. オンライン実験のための視線計測環境の整備:コロナ禍での視線計測実験を円滑に行うために,ノートPCなどのウェブカメラを用いて,動画視聴時の視線をオンラインで記録する実験環境を整備した. 2. デジタル教材の閲覧行動データに基づく成績予測:デジタル教材の閲覧・操作ログから,科目コース受講者それぞれの,各種の操作頻度パターンをコースの週ごとに特徴抽出することで,多層ニューラルネットを学習し,最終成績を予測するアルゴリズムを開発した.また,ニューラルネットの勾配情報に基づく特徴量の重要度を用いることで,予測に強く寄与する閲覧・操作行動のパターンが得られることを確認した. 3. デジタル教材のリアルタイム分析に基づく可視化フィードバック:デジタル教材の閲覧履歴をリアルタイム分析し,講義を行っている教師ならびに講義に参加している学習者に可視化フィードバックを行うシステムの開発を行った.リアルタイムフィードバックにより,教師の説明箇所の伝達状況を把握することが容易になり,教材のページ内に記録される学習活動がより活発になることが確認された.また,コロナ禍でのオンライン授業でも有効利用できることが確認された. 4. 学習関心や知識状態を推定するための質問手法の開発:学習者の学習状況を事前ならびに学習開始後に把握するための質問項目や質問提示方法の設計を行い,試行的にオンラインコースへの実装を行った.自己決定理論の理論枠組に基づいて,外発的動機の調整を促す通知を取り入れることで,学習者の状態に応じた学習行動への誘導方法の開発を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の目的であるフィードバックループを構築する上での構成要素となる,教材閲覧ログを用いた学習行動の分析手法を発展させており,さらに可視化フィードバックの開発についても実施しており,当初の予定通り進捗しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度以降は,2020年度に引き続いて教材閲覧ログや視線データの解析手法を開発するとともに,コンテンツ情報を統合した学習者の各種の状態推定手法を考案していく.この際,小テストでの点数や最終成績を予測するようなモデルを用いることで,成績と関連する行動パターンを抽出し,学習行動と学習効果との関連性を調べていく.さらに,各学習者の知識状態などを踏まえた,コンテンツ学習パスの推薦やフィードバック提示手法の開発を引き続き進める.
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