研究課題/領域番号 |
19H04238
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
矢吹 正教 京都大学, 生存圏研究所, 特定研究員 (80390590)
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研究分担者 |
三浦 和彦 特定非営利活動法人富士山測候所を活用する会(富士山環境研究センター), 第一研究部, シニアリサーチフェロー (00138968)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 大気汚染物質 / 車載ライダー / 高距離分解能計測 / 街区スケール |
研究実績の概要 |
本研究では、都市域における大気汚染物質の動態を建物~街区スケールで把握するため、数十センチメートル間隔で計測可能な車載ライダーを開発することを目的とする。高層ビル街に囲まれた都市キャノピー内外の大気汚染濃度を把握し、従来型の広域リモートセンシングと多点に展開する地上定点観測との空間ギャップを埋める情報が得られることが期待される。 2020年度は、2019年に開発した車載ライダーおよび障害物検知ライダーを活用したレーザー照射に対する安全対策機能をサンルーフ車に搭載し、観測所敷地内での移動実験を通じてその性能を評価した。また、夏季に東京湾岸エリアから高所観測点がある東京スカイツリー・東京理科大学を周回するルート上で、車載ライダーによる実証観測を実施した。湾岸から内陸に向かって境界層高度が高くなっていく様子や、早朝の高層ビル街や交差点周辺の中のエアロゾルが不均一に分布している様子などを捉えた。得られたライダー信号から、高度7~1000 m(距離分解能37.5 cm)のエアロゾル消散係数を時間分解能1秒ごとに導出した。高所の定点観測の結果と比較し、車載ライダー観測から見積もられたエアロゾル消散係数の変動特性が、直接観測の値と整合していることを確かめた。コロナ禍によある制限により冬季の都市の観測事例を増やすことができなかったが、屋外での燃焼物拡散過程の観測や、清浄な大気状態におけるエアロゾル定量計測の評価実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
装置開発・評価は順調に進んだが、コロナ禍の影響で都市部での実証観測の実施に制限があり、とりわけ冬季のデータ取得が難しかった。
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今後の研究の推進方策 |
季節・時間・気象など様々な条件に対する観測事例を増やす。また、レーザーの安全性を担保しながら観測視野方向を可変とする機能を追加して、汎用性を高める。また、開催が延期された複数の国際会議での成果発表を進める。
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