研究課題/領域番号 |
19H04242
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
佐野 到 近畿大学, 理工学部, 教授 (10247950)
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研究分担者 |
向井 苑生 京都情報大学院大学, その他の研究科, 教授 (00097411)
中田 真木子 近畿大学, 総合社会学部, 准教授 (80525791)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | エアロゾル / AERONET / DRAGON / SCALE / SCALE-Chem / J-ALPS |
研究実績の概要 |
本研究『エアロゾル輸送における山岳地形効果の解明』のため,米国NASA/GSFC AERONETグループと協力し『DRAGON J-ALPS』プロジェクトという名称にて,地上計測,衛星計測,領域モデルシミュレーションの3つのパートを並列して進め,研究課題にアプローチを行った. 2019年度の研究実績は,項目ごとにそれぞれ以下の通りにまとめられる. 地上計測:AERONET放射計の設置個所の選定を行った.2020年2月下旬には,大学,高校,自治体,企業などの多大なる協力を得て長野県(八方尾根,白馬,大町,松本,諏訪,霧ヶ峰高原,箕輪,伊那,飯田),岐阜県(高山),山梨県(甲府),群馬県(榛名山)において計12台のAERONET放射計を設置し連続計測(2020年3月~5月)を実施した.2020年3月中下旬に長野県松本盆地,伊那谷においてシーロメータによる鉛直観測,ドローンによるPM2.5鉛直観測などを国内大学と共同で実施した. 衛星計測:ひまわり衛星データを用いたリアルタイム処理の定常化によるエアロゾルイベント監視を実施した.GCOM-C/SGLI(しきさい)データを用いた高濃度エアロゾル領域における解析手法の開発を行った. 領域モデル:SCALE-Chemによる2012年の再現実験を大阪地区で行った.その際,エアロゾルの光学的厚さ(AOT)に関し,計測データとの比較(AOT値)による評価を行った結果,大きな矛盾はないことを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の研究計画に基づき,2019年度は地上計測準備と計測開始,衛星計測データ処理,モデルシミュレーションの確認を行った.以下詳細にまとめる. 1.地上計測:2019年度2月下旬より,長野(八方尾根,白馬,大町,松本,諏訪,霧ヶ峰高原,箕輪,伊那,飯田),岐阜(高山),山梨(甲府),群馬(榛名山)において計12台のAERONET放射計を設置し,2020年度5月下旬までの観測を実施.2019年度3月において,長野県松本盆地,伊那谷において,シーロメータによる鉛直観測,ドローンによるPM2.5鉛直観測を実施した. 2.衛星計測:ひまわり衛星データを用いたリアルタイム処理の定常化によるエアロゾルイベント監視を実施 3.領域モデル:SCALE-Chemによる2012年の再現実験による評価を行った. 上記のように,すべての項目において順調に行うことができたため,おおむね順調と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
本年度開始時点でDRAGON J-ALPS集中観測期間は始まっており,2020年2月末~3月第1週において,AERONET放射計の設置が完了しており,2020年5月末まで計測を継続する.しかしながら,2020年4月中旬~5月初旬において予定していた『AERONET放射計(12台)の保守』,『シーロメータ,可搬型放射計,簡易PM2.5計を用いた移動計測による臨時計測地点の増加』がコロナウイルスによる非常事態宣言(移動自粛)のため実質不可能となった.共同実験者である米国NASA側との調整により少なくとも計測期間を秋季まで延長を予定する.2021年以降に再実験を行うか否かは実験終了後に得られるデータを用いて初期解析を行うことで決定する.具体的に初期解析は地上,衛星計測データを主体として以下の手順で実施する. 『1.清浄大気日におけるバックグラウンド状況の把握』,『2.汚染大気日の原因(局所汚染,越境移流)の推定』,『3.衛星データ解析による汚染原因確認』,『4.領域モデルシミュレーションの試行』
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