研究課題
2021年春(2021/3/1~2021/6/15)を中心に計測データ解析を行った.その結果,計測器を設置した飛騨天文台,八方尾根,白馬,大町,松本,霧ケ峰高原,諏訪,箕輪,伊那,飯田,甲府,榛名山の全ての地点において光学的厚さ(波長500nm)の平均値は0.2未満であり,観測地域を取り囲む地点(五島福江,福岡,能登,大阪,白浜,新潟)のいずれより(エアロゾル濃度)低い結果が示された.3か月間のの大部分を占める通常のエアロゾルの越境輸送の場合は山岳による遮蔽効果により,エアロゾル濃度が低く保たれているためと推察できる.高濃度エアロゾル(光学的厚さが高い状態)のケースも見られたが,その一部は黄砂現象時であった.黄砂現象時はその遮蔽効果は低いことが計測値に表れている.これらは以下より説明可能である.人間が都市部で排出するエアロゾルは大気境界層において濃度が高く,それを超えると急激に減少してゆく.このような2km未満の低層に存在する汚染物質が中部山岳地帯の西側から輸送される場合,3 km級の山が連なる北アルプス,中央アルプスなどにおいて,その規模から大気境界層に含まれる物質の移動が妨げられると考えられる.一方,中国大陸内部の高地で発生する砂塵性エアロゾル(黄砂)は,気象条件にもよるが高度4 km以上まで上昇する場合がある.つまり,山脈を容易に超えられることから長野県においても黄砂時は高濃度エアロゾルとなることが考えられる.領域エアロゾル輸送モデル(SCALE-Chem)に基づく再現実験を行った.その結果,山岳による越境汚染物質の遮蔽効果が示された一方,山岳が存在することによるエアロゾル濃度増大(盆地効果)の存在も示された.いずれの場合にしても山岳地形はエアロゾル輸送に影響を与えており,濃度減少だけでなく濃度増大にも影響していることが分かった.
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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