研究課題/領域番号 |
19H04247
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
吉川 知里 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(生物地球化学センター), 副主任研究員 (40435839)
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研究分担者 |
伊藤 進一 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (00371790)
山口 晴代 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物多様性領域, 主任研究員 (20722672)
松林 順 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(横浜), 研究員 (30756052)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 窒素同位体比 / 回遊経路 / 海洋生態系モデル |
研究実績の概要 |
地球温暖化などの気候変動が海洋生物へ与える影響を明らかにするうえで、海洋生物の回遊経路の解明は不可欠である。しかし、海洋生物の中でも特に魚類は、行動範囲が広いため、移動行動の観察は難しく、さまざまな解析手法が試みられているものの、定常的な回遊経路でさえ不明な点がまだ多い。そこで本研究では、「脊椎骨のアミノ酸窒素同位体比測定」から、対象とする魚が回遊中に食べた餌の窒素同位体比履歴を復元する。「海洋窒素同位体モデル」から再現した窒素同位体比の空間分布と、「魚類成長-回遊モデル」から推定した回遊経路からも、対象とする魚が回遊中に食べた餌の窒素同位体比履歴を推定する。両者の比較から回遊経路を絞り込む。 植物プランクトンの窒素同位体比測定について本年度は、測定結果の解析を行った。具体的には、西部北太平洋亜寒帯・亜熱帯海域で採取した懸濁粒子中の植物プランクトンの窒素同位体比測定結果を、硝酸・アンモニアの窒素同位体比も用いて、同位体マスバランスを計算し、当海域において植物プランクトンが取り込む窒素態栄養塩について考察した。 窒素同位体比分布の再現については、前年度に作成した窒素同位体比データアーカイブの更新を継続し、全球窒素同位体モデルを改良した。また、前年度に集中的に測定したインド洋海域の窒素循環の解析結果を論文にまとめた。 魚類のアミノ酸窒素同位体比測定については、水晶体のアミノ酸窒素同位体比分析法を確立し、論文にまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
植物プランクトンの窒素同位体比測定と窒素同位体比地図の作成は、当初の予定通り行えた。当初予定していた脊椎骨のアミノ酸窒素同位体比測定とともに、水晶体のアミノ酸窒素同位体比測定も開始し、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
植物プランクトンの窒素同位体比測定について来年度は、今年度までの解析結果を取りまとめ、論文化する。 窒素同位体比分布の再現については、窒素同位体比データアーカイブの更新を継続するとともに、全球窒素同位体モデルを用いて、有光層の窒素同位体マッピングを開始する。また、データアーカイブを基に、全球窒素同位体モデルを用いた窒素同位体比分布の季節変化の再現性についての検証を進める。 魚類のアミノ酸窒素同位体比測定については、今年度に確立した水晶体のアミノ酸窒素同位体比分析法をマサバに応用し、マサバの時系列窒素同位体比変動を明らかにする。
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