研究課題/領域番号 |
19H04249
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山下 洋平 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (50432224)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 生物地球化学 / 炭素循環 / 燃焼起源有機物 / 溶存有機物 / 海洋深層 |
研究実績の概要 |
バイオマスや化石燃料の燃焼に伴い生成する燃焼起源有機物 (PyOM) の大部分は、生物学的反応性に乏しい超難分解性成分であり、長期的な炭素循環を制御しうる。近年、地球表層における最大級の還元型炭素プールである海洋溶存有機物中にもPyOMが存在する事が示された。しかし、海洋溶存PyOMの時空間分布に関する情報は極めて乏しく、その動態は不明である。申請者は、これまでに溶存PyOMの太平洋南北断面分布を明らかにし、深層に存在する溶存PyOMは沈降粒子に吸着され水柱から除去される、との仮説を立てた。本研究では、ベーリング海や南極海などの更に広範な海域における溶存PyOMの空間分布、また溶存PyOMのサイズ分布、を明らかにする事により、海洋深層における溶存PyOMの除去や輸送過程を解明する事を目指す。 2019年度は、東部インド洋、北太平洋亜熱帯域、西部北大西洋亜寒帯域における溶存PyOMおよび海洋化学パラメータの分布を明らかにした。東部インド洋における溶存PyOMの分布パターンを解析した結果、最も高濃度な溶存PyOMは、最北端のインドやバングラディシュに最も近い観測点における表層で観測された。この試料に関しては、低塩分で特徴付けられたため河川流入の影響が、また大都市からも近いため大気沈着の影響も考えられた。興味深いことに、深層においても最北端の観測点における溶存PyOM濃度が最も高かった。また、白鳳丸KH-19-6航海に参加し、南太平洋の試料を採取した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海洋化学パラメータである有色溶存有機物の分析装置が故障したため、2019年度の研究の一部は2020年度に繰り越したが、繰り越し分の分析も終了しており、おおむね順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度および2021年度で、外洋域における溶存PyOMおよび海洋化学パラメータの分析を全て終える予定である。同時に、データ解析をすすめ、論文を執筆する。また、計画を前倒し、2020年度から溶存PyOMのサイズ分布を明らかにする予備実験を開始する。
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