研究課題
大気エアロゾルに含まれる有機物(有機エアロゾル)の吸湿性の寄与を説明する際に、無機塩と有機エアロゾルのそれぞれの寄与に加成性が成り立つと仮定する考え方があるが、その仮定の妥当性には検討の余地がある。大気有機エアロゾルの起源・組成・吸湿性の関係を結びつけ、エアロゾルの吸湿性やさらにはその気候影響を解析する上において、加成性の仮定が妥当であるかどうかは重要な点といえ、以下の検討を進めた。まず、過去に名古屋においてフィルタ上に採取したエアロゾル試料から水溶性成分を抽出した上、そこに含まれるフミン様物質(HULIS)を固相抽出カラムを用いて抽出した。そして、抽出で得たHULIS試料の定量を、エアロゾル質量分析計を用いて行った。その結果を利用して、HULISと硫酸アンモニウムの混合割合が分かる水溶液を複数用意して、アトマイザで微粒子を発生させて吸湿タンデム微分型電気移動度分析器(HTDMA)に導入し、それぞれの吸湿成長度(乾燥粒径に対する加湿時の粒径の比)を複数の異なる吸湿成長の条件下において計測した。また、抽出したHULISの粒子や硫酸アンモニウム粒子に対しても、HTDMAを用いてそれぞれの吸湿成長度を測定した。そして、微粒子に含まれるHULISの割合と吸湿性パラメータの関係を得た。そのほか、都市大気のHULISの吸湿性に関する成果のまとめに関する取り組みも進めた。大気モデルにおける有機エアロゾルの吸湿性の取り扱いの改良とそれに基づく評価について、今後、検討を進めたい。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件)
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