研究課題/領域番号 |
19H04258
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
斉藤 拓也 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境計測研究センター, 主任研究員 (40414370)
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研究分担者 |
中村 達夫 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (50334636)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 塩化メチル / フタバガキ / シロイヌナズナ |
研究実績の概要 |
今年度は主に、塩化メチルの生合成に関わる酵素であるハライドイオンメチルトランスフェラーゼ(HMT)活性の測定法について検討を行った。酵素活性測定系の基礎検討には、塩化メチルを放出することが分かっているシロイヌナズナの葉を用いた。HMT活性の測定系として、(1)基質であるS-アデノシルメチオニン (SAM)から酵素反応によって生成されるS- アデノシルホモシステイン(SAH)をLC-UV を用いて定量する方法、(2)酵素反応によって生成するメチルハライド(ヨウ化メチル、塩化メチル)を GC/MSで定量する方法、の2つの方法について検討を行った。(1)については候補となる幾つかの分析法についてシロイヌナズナ抽出画分を用いた検討を行い、SAHと植物抽出液由来のピークの相互分離が最も良好な方法を採用した。また、植物からのタンパク質画分の調製方法について検討し、HMT活性画分を高い回収率で抽出する方法を決定した。(2)の方法についてもシロイヌナズナを用いた検討を行った。これらの検討から、シロイヌナズナによるヨウ化メチル生成反応については上記(1)と(2)で整合的な結果が得られたが、塩化メチルについては酵素活性測定系の感度や安定性が問題となることが分かった。シロイヌナズナを用いた基礎検討に続いて、本研究の対象植物であるフタバガキ科についても国内の温室で採取した葉を使って酵素活性測定系の予備的な検討を開始した。上述のシロイヌナズナでの酵素活性測定条件をもとに検討を重ねた結果、(2)の方法でフタバガキ葉の粗抽出液における塩化メチル合成反応とヨウ化メチル合成反応を検出可能な条件を見出した。酵素活性測定系の検討の他に、植物葉中の塩化物イオンの測定に必要なイオンクロマトグラフを調達し、分析方法の基礎検討を進めた。また、既存の大気濃縮装置/GC/MSを改造し、植物葉(個葉)による塩化メチル等メチルハライド放出速度を連続的に測定するシステムを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
フタバガキを用いて酵素活性測定条件の検討を行う過程で、当研究所の温室のフタバガキの生育状態が悪く、酵素活性測定条件の検討ができないことが判明した。このため、他研究機関が所有する別種のフタバガキの入手を待って、フタバガキを用いた酵素活性測定条件の検討を行う必要が生じたため計画に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
フタバガキを用いた定量系を確立し、塩化メチルの生合成過程と放出速度との比較を行う。
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