本年度は、酵素活性測定系を確立すると共に、フタバガキ科の植物葉を用いた塩化メチル放出量、酵素活性量並びに塩化物イオン濃度と関連代謝産物との比較を行った。フタバガキ科の個葉を対象にしたダイナミックエンクロージャーシステムを作製し、フタバガキ科の植物葉による塩化メチル放出量をin vivoで測定したところ、日中に放出量が増加する傾向が捉えられた。国内の熱帯温室で生育されたフタバガキ科の複数の種(4属5種)を対象にした実験では、5種のうち3種で塩化メチルの有意な放出が確認され、種(遺伝的背景)が塩化メチル放出の規定要因であることが示唆された。また、塩化メチルの放出速度と生合成に関わるパラメータ群との比較を行ったところ、酵素活性量との間に最も高い相関が認められ、塩化メチルの生合成が酵素活性に支配されていることが示唆された。
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