研究課題
メタン生成補酵素F430の高感度定量分析法の応用と,F430のアルキル基還元触媒としての未知を機能解明することにより,海洋堆積物表層から生命の増殖温度限界を超える基盤岩までのメタン生成菌の分布を明らかにし,メタン生成菌の存在限界およびそれを支配する環境要因の解明をすること,F430の未知機能を発現しうる未知メタン菌の存在および多様性を明らかにすることである。当該年度は以下の研究を行った。1)補酵素F430の機能解明と未知メタン菌探索および進化に関する研究昨年度からの継続して補酵素F430を還元剤および電気化学的手法を用いて活性化を行い、様々な炭素基質と反応させることによる機能解明を行った。その結果、補酵素F430は生体内基質であるCH3-S-CoMだけでなく、多様なチオアルキル化合物、ハロゲン化アルキル化合物、アルコキシ化合物と反応できる未知機能を持つことが明らかになった。また、世界中のデータベスからメチルコエンザイムMレダクターゼ(MCR)タンパク質の遺伝情報をベースにメタン菌の系統関係を再解析した結果、メタン菌の起源は、水素資化性あるいはメタノール資化性の代謝様式を持っていたこと、本研究で補酵素F430単体で反応が進行するように、タンパク質を含まず特異的な反応を行っていた可能性が示唆された。2)海底下のメタン菌分布を支配する環境要因に関する研究メタン菌の分布を支配する環境要因として、補酵素F430の中心金属であり、メタン菌にとって要求性の高いNiの存在度の可能性があった。Niはこれまで実験器具からのコンタミネーションの可能性から、堆積物間隙水中の濃度は分析されてこなかった。そこで、金属に触れることなく堆積物から間隙水を抽出し、日本海のメタンハイドレート賦存堆積物において、その濃度を明らかにした。その結果、Niの存在量は環境要因になるほど低濃度ではないことが明らかになった。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
PNAS Nexus
巻: 2 ページ: 1-10
10.1093/pnasnexus/pgad023
日本原子力学会誌「アトモス」
巻: 64 ページ: 24-27