研究課題/領域番号 |
19H04264
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
安井 博宣 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (10570228)
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研究分担者 |
稲波 修 北海道大学, 獣医学研究院, 教授 (10193559)
平田 拓 北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (60250958)
久下 裕司 北海道大学, アイソトープ総合センター, 教授 (70321958)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | フェロトーシス / 腫瘍 / 放射線 |
研究実績の概要 |
近年、鉄の蓄積と活性酸素種(ROS)増大に起因するフェロトーシスと呼ばれる細胞死が報告され、がん治療への応用が期待されている。しかし、この細胞死の詳細なメカニズムや、効率的な誘導法、ならびに特異的な検出法は明らかにされていない。本研究では、「分子機構に基づいた効率的な手法で、イメージング等検出技術に裏付けされた条件において、鉄依存性細胞死フェロトーシスをがん治療のアプローチに適用することが可能か?」という問いを設定し、①様々な作用点を検討することで効率的なフェロトーシス誘導法を開発すること、②分子シグナルと生理活性物質の変化を明らかにすること、③非侵襲的なフェロトーシスイメージング法を開発することを目的とする。 2019年度では、シスチン-グルタミン酸トランスポーターの特異的阻害剤であるエラスチンを用いて、放射線治療効果の効率化を検討したところ、ヒト肺がん由来NCI-H1975細胞株および子宮頸がんHeLa細胞株に対して、in vitroおよびin vivoでの腫瘍抑制効果の増強を得ることができた。さらに、細胞株によって程度の違いはあったものの、この増感メカニズムとしてグルタチオン合成の抑制が関与していることを明らかにした。得られた成果は、第14 回日本分子イメージング学会、第72回 日本酸化ストレス学会学術集会、The 26th Annual Meeting of the Society for Free Radical Biology and Medicineで発表し、PLoS ONE誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載した当初の計画において、効率的にフェロトーシスを誘導できる作用点をもとに、放射線感受性を引き上げることに成功し、そのメカニズムについても一部明らかにすることができた。エラスチン以外の薬剤についての検討が進行中であり、別の作用点からの増感メカニズムについても今後明らかにする予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度については、誘導されたフェロトーシスを非侵襲的に検出できるイメージングプローブを開発することで、経時的かつ局所的な変化を捉えることに取り組む。すでに、核医学プローブとして、F-18やGa-68といった陽電子放出核種で標識したフェロトーシス検出プローブの開発に着手している。
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