研究課題
本研究では、ヌクレオチド除去修復(nucleotide excision repair; NER)のより高次な調節機構の解明に向けて、ケミカルバイオロジーを利用した2つのアプローチから研究を進めている。今年度は、従来からのフォワードケミカルジェノミクスのアプローチを進展させるとともに、昨年度までに導入した近位依存性ビオチン標識法(BioID法)を用いてNER中間複合体の単離を試み、以下の実績を得た。(1)フォワードケミカルジェノミクスのアプローチ先行する低分子化合物A6のERCC1分解誘導メカニズムに関して、A6処理後にERCC1のポリユビキチン化体が生じること、この反応は以前に同定したE3リガーゼの活性化阻害剤や基質受容体siRNAの処理により顕著に抑制されることを明らかにした。また、ERCC1-EGFP融合タンパク質の安定発現細胞株を用いて、A6処理後にGFP-Trapで基質受容体が共沈降されることを見出した。一方、パツリンとシコニンに関しては、昨年度明らかにしたXPCとTFIIHサブユニットp62との相互作用の増強が、両者の相互作用に重要なXPCの酸性領域(acidic string)を介したものであることがわかった。(2)BioID法を利用したアプローチNER必須因子のXPAまたはXPCにTurboIDを融合させたタンパク質を安定発現する細胞株に紫外線照射し、ビオチン添加して標識されるタンパク質をウエスタンブロッティング及びMS解析で同定したところ、いずれの細胞株でもTHIIHのサブユニットが再現的に検出され、このビオチン化はXPBのATPase阻害剤triptolideの処理で著しく減少し、逆に上述のA6処理で増加したことから、NERに依存した反応であることがわかった。また、MS解析ではこれまでNERへの関与が知られていない複数のタンパク質が検出された。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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DNA Repair
巻: In press ページ: 未定
10.1016/j.dnarep.2022.103318
Genes Cells
10.1111/gtc.12932
生体の科学
巻: 73 (2) ページ: 105-109
https://www.p.kanazawa-u.ac.jp/~iden/index.html