研究課題
初年度はACR曝露により誘導されるNE作動性神経変性のモデルを確立した。マウス神経外胚葉幹細胞(1C11)とマウスミクログリア細胞(BV2)を用いて実験を行った。1C11細胞はノルアドレナリン作動性神経細胞(1C11NE)・セロトニン作動性神経細胞(1C115-HT)に分化誘導され、それぞれの分化状態は免疫染色・HPLC分析により確認した。1C11NE・1C115-HT細胞にACRあるいはACRに曝露したBV2細胞の培養上清を曝露し、MTS細胞活性・LDH漏出量を測定した。また、ACR曝露後のNE作動性神経・5-HT作動性神経の神経突起長の経時的変化を観察し、ImageJを用いて突起長を測定した。1C11NE・1C115-HT両細胞において24時間のACR曝露では1mM以下で細胞生存率の減少・LDH漏出量の増加は見られず、ACRに曝露したBV2細胞の培養上清への1C11NE・1C115-HTの曝露においてもACR1mM以下の濃度でMTS細胞活性は減少しなかった。0.5、1mMでの24・48時間のACR曝露では1C11NEの神経突起長は減少せず、同濃度のACRに曝露したBV2培養上清への曝露により突起長が減少した。また、1C115-HTでは1mMでの48時間のACR曝露で突起長が減少し、ACRに曝露したBV2培養上清への曝露は1C115-HTの突起長の減少を増強した。また1C11NE・1C115-HT両細胞において、ACRを曝露していないBV2培養上清に1mMのACRを添加し曝露したグループにおいても突起長の減少が見られた。以上より、ACR曝露はNE神経細胞および5-HT神経細胞のMTS細胞活性を低下させない濃度で神経突起長を減少させ、その作用にはミクログリアが関与していること、ミクログリアがACRに対するNE神経・5-HT神経の感受性を増大させることが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
共培養では、DMSOの影響を受け、ミクログリアが細胞死を引き起こすことがわかった。この問題を解決するために、ミクログリア培養上清へ1C11ニューロンを曝露する方法を確立した。
ミクログリア、ニューロンからRNAを抽出し、RNAシークエンスを行う予定である。並行して動物実験での検討をすすめる。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 6件、 査読あり 12件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (27件) (うち国際学会 11件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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