研究実績の概要 |
スルフォラファン25mg/㎏を一日一回、マウスの皮下に注射した後、アクリルアミド 0、200、300ppmを飲水曝露した。28日曝露後、一部のマウスを断頭し、生化学解析用脳サンプルを得るとともに、左心室から灌流固定を行い、病理組織学的検索を行った。アクリルアミドへの曝露はLanding foot spreadを増加し、体性感覚皮質のノルアドレナリン神経線維の密度を低下させた。肝臓においてはネクローシスと出血が観察された。アクリルアミドへの曝露は、さらにグルタチオンレドックス比を増加させ、TNFαとiNOSのmRNA発現を増加させた。スルフォラファンの同時投与は、アクリルアミドの神経毒性、肝毒性を低下させるとともに、Nrf2のmRNA発現およびその下流に位置するNAD(P)H:quinone oxidoreductase-1、superoxide dismutase-1, glutathione-s-transferase mu, glutathione-s-transferase mu-5, thioredoxin reductase-1 and metallothionein-1遺伝子の発現を増加させたが、TNFαとiNOS遺伝子の発現は低下させた。ノルアドレナリンニューロンに分化させた1C11細胞を、アクリルアミドに曝露したBV2ミクログリアの培養上清へ曝露し、両細胞それぞれにおけるトランスクリプトーム解析を行った。ニューロンにおいてアポトーシスを伴わない神経突起短縮と関連するカスパーゼ遺伝子群の発現の変化が見られた。この他、オートファジー関連遺伝子群、TNF関連遺伝子、IL関連遺伝子の発現の変化も観察された。
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