研究実績の概要 |
1.前年度に開発したエレクトレットセンサ(ECS)素子の感度のさらなる向上を目的として,背面層の材質と厚さが感度に及ぼす影響を調べた。その結果,背面層の厚さを測定対象のAEの波長の1/4とすると高い共振効果が得られることが分かった。そして,植物の茎部に密着させるための柔軟性の維持とAEの減衰率を抑える点からシリコーンゴムが材質として最適であった。 2. 前年度に開発した植物IoT(IoP)デバイスについて,Loraを用いた無線送信機を実装することで,中継器から1km程度の範囲内で測定可能なデバイスを開発した。 3. 表面実装部品を用いた基板設計を行うことで前年度より半分のサイズの基板を開発した。そして,これまでの成果と合わせることで,植物AE,温湿度,CO2濃度,土壌温度,土壌水分率,土壌ECを同時に測定可能なIoPデバイスを開発することができた。 4. 上記IoPデバイスからの測定データをクラウドデータベースに集約して,研究室に設置したサーバにより解析を行い,測定地点における毎時の温湿度などの環境因子,AE発生数をウェブ上でいつでもどこでもリアルタイムに閲覧可能なシステムを構築した。 5. 開発したIoPデバイスを用いて露地栽培みかん,ハウス栽培イチゴ,露地栽培茶について,6カ月~9カ月の長期測定を行った。露地栽培茶については既に開発済みの自立電源を用いて測定を行い,いずれも安定して測定を継続することができた。得られた植物AEデータを用いてAE発生挙動と植物のストレスとの関係を調べたところ,植物AEの発生時刻の重心点(最も植物AEが発生する時刻)と植物のストレスとの相関を見出した。
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