研究実績の概要 |
本研究は、海産無脊椎動物を対象として、沿岸環境におけるPBDDs、特に低臭素化ダイオキシン類の毒性リスクを評価することを目的としている。 本年度は海産アミ類の成熟雌雄個体から取得した遺伝子配列を用いてアノテーションの整備を進めた。甲殻類アミを用いた生物影響試験では、PBDDsの影響を評価する新たな試験法を構築するため、脱皮直後から経時的に個体を採取し、脱皮ホルモン受容体の遺伝子群(脱皮ホルモン受容体EcRおよび二量体パートナーUSP)やcuticle ptoteinファミリー遺伝子群(CPRs)の発現変化を定量した。脱皮周期にともなう脱皮関連遺伝子群の発現変化を調べたところ、CPRsは脱皮前に急激な発現増加と減少を示すクリアな発現変動の知見を得た。今後、これらの遺伝子群を指標としてPBDDsの脱皮、成長・成熟への影響評価を進める予定である。 化学分析では、3臭素化体および4臭素化体の添加回収率試験を実施し、79~102%の良好な回収率を得た。そこで、大牟田川河口および東京湾の海産生物(ハゼ、スズキ、ボラなどの魚類およびシャコなど)を試料として、1,3,7/1,3,8-TriBDD、2,3,7-TriBDD、1,2,3,7/1,2,3,8-TetraBDDの分析を行った。供試した試料中から対象としたPBDDsは検出されず、今後採取予定の二枚貝や小型の甲殻類における定量結果と比較する予定である。
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