研究課題/領域番号 |
19H04294
|
研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
堀江 好文 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (60785137)
|
研究分担者 |
山岸 隆博 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康研究センター, 主任研究員 (30379333)
鑪迫 典久 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (40370267)
竹花 佑介 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 准教授 (60432093)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | メダカ / 内分泌かく乱 |
研究実績の概要 |
本研究では、性決定遺伝子カスケードの遺伝子を指標とすることで、化学物質の内分泌かく乱作用や最小影響濃度、無影響濃度を正確に予測できる新たな生態毒性試験法を開発することを目的とする。 初年度には、女性ホルモン作用のあるノニルフェノール(4-NP)、ビスフェノール(BPA)を用いて、魚類性発達試験(OECD TG No.234)を行い、各化学物質のメダカに対する生態影響(精巣卵や性転換)の最小影響濃度・無影響濃度を算出した。その結果、4-NPの最小影響濃度・無影響濃度は32・10μg/L、BPAの最小影響濃度・無影響濃度は1030・326μg/Lとなった。 次に、各化学物質ばく露後のGsdf遺伝子、Foxl2遺伝子、Aromatase遺伝子の発現変動を調べた。まず初めに孵化直前のXY個体を調べた結果、4-NP及びBPAばく露によってGsdf遺伝子の発現は抑制された。一方で、Foxl2遺伝子及びAromatase遺伝子の発現には変化は認められなかった。次に、孵化後30日のXY個体を調べた結果、4-NP及びBPAばく露によってGsdf遺伝子の発現は抑制され、Aromatase遺伝子の発現は増加した。一方で、Foxl2遺伝子の発現には変化は認められなかった。XX個体ではいずれの遺伝子もその発現に有意な変化は認められなかった。以上の結果から、Gsdf遺伝子とAromatase遺伝子が化学物質の内分泌かく乱作用を予測する有効な遺伝子マーカーとなる可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、4-NP及びBPAを用いて魚類性発達試験(OECD TG No. 234)を行い、生態影響の最小影響濃度、無影響濃度を算出した。さらには、Gsdf遺伝子とAromatase遺伝子が化学物質の内分泌かく乱作用を予測する有効な遺伝子マーカとなる可能性を見出すことができたため、研究計画は概ね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は男性ホルモン作用を示す化学物質を用いた同様の実験を行うことで、Gsdf遺伝子とAromatase遺伝子の遺伝子マーカーとしての有用性を検証する。
|