研究課題/領域番号 |
19H04296
|
研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
鈴井 伸郎 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線生物応用研究部, 主幹研究員 (20391287)
|
研究分担者 |
井倉 将人 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 主任研究員 (80706630)
渡部 浩司 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (40280820)
坂下 哲哉 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線生物応用研究部, 上席研究員 (30311377)
尹 永根 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線生物応用研究部, 主任研究員 (50609708)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 放射性セシウム / PET / ポジトロンイメージング |
研究実績の概要 |
これまでの放射性セシウムの動態研究に欠けていた「個体レベル」の動態解析を、新規に開発したポジトロン放出核種Cs-127(半減期:6.25時間)を用いた非破壊イメージングにより実現する。具体的には、生きた作物(ダイズ)と樹木(リンゴやスギ等)におけるセシウム動態を非破壊的に可視化し、子実へのセシウム輸送メカニズムの解明と樹体内のセシウム動態モデルの構築を行う。さらに、Cs-127を生きた動物(ラット)に経口投与し、ポジトロン断層法(PET)を用いてセシウムの3次元動態を非破壊的にリアルタイムで可視化し、各臓器への移行速度を算出することで、放射性セシウムによる内部被ばく線量の正確な評価に資する。 2021年度は、矮性リンゴにおける放射性セシウムの経皮吸収をCs-127イメージングで観察した。供試植物として春季条件(長日、25℃)で栽培したヒメリンゴを用い、新芽が生長している側枝と主茎を撮像範囲とした。側枝の外皮のみを除皮し、同日に製造したCs-127トレーサ溶液を塗布し、Cs-127の動態を36時間に渡り可視化した。画像解析の結果、新芽側へのCs-127の移行量は主茎側よりも高かった。オートラジオグラフィーの結果から、主茎では側枝から運ばれたCs-127が主茎の下部かつ側枝側に偏在していた。放射性セシウムが若い器官に輸送される傾向は、フィールド調査におけるスギやコシアブラと同様であることから、Cs-127を用いたラボスケールの動態解析手法が外環境の放射性セシウム動態予測に資する実験系であることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生きた矮性リンゴを用いたCs-127イメージング実験において、4個体のデータ取得に成功しているため、本課題は概ね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
ダイズおよび矮性リンゴにおける放射性セシウム動態に関する原著論文2報を取りまとめる。
|