研究実績の概要 |
本研究では、流動担体と特異的増殖基質を用いた土着1,4-ジオキサン分解菌の迅速かつ選択的な集積法、及び集積した分解菌の安定した活性発現のための好適な雲梯制御ならびに分解阻害物質の前処理法を確立し、土着分解菌を活用した1,4-ジオキサン処理の可能性を実証することを目的としている。 最終年度となる2022年度は、特に課題3『既存水処理施設における1,4-ジオキサン処理実証』に注力し、研究を推進した。2021年度に担体を投入した実処分場の水処理施設において、担体への分解微生物の集積状況及び1,4-ジオキサンの分解・除去のモニタリングを年間を通じて継続して、担体投入による1,4-ジオキサン除去(生分解)促進効果の持続性ならびに環境因子による影響について調査を進めた。その結果から、担体投入による効果が比較的長期間にわたり持続可能であることが確認された。さらに、担体を投入していない処理槽にも担体を投入し、さらなる分解促進の可能性を検証した。他方、現地における1,4-ジオキサンの詳細なモニタリング手法として、極性有機化学物質集積サンプラー(POCIS)の適用可能性についても検討を行った。使用する材質に関する検討の結果、最適なPOCIS装置を開発し、実処理場の水処理施設における1,4-ジオキサンモニタリングにも適用した。 また、本研究の各検討において得られた研究成果の学術雑誌での発表ならびに学会発表を積極的に行い、情報発信に努めた。
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