研究課題/領域番号 |
19H04302
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
濱村 奈津子 九州大学, 理学研究院, 准教授 (50554466)
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研究分担者 |
光延 聖 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (70537951)
鹿島 裕之 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究プログラム), 特任研究員 (70780914)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 微生物金属代謝 |
研究実績の概要 |
本研究では、有害金属動態プロセスのモデル化と安定化技術への応用を目指し、鉱山廃棄物の安定性及び有害金属挙動に影響する微生物-鉱物相互作用の解明を目的とする。当該年度は、鉱山廃棄物の安定性および有害元素挙動における微生物-鉱物相互作用の影響を明らかにするために、以下の3項目を実施した:1)鉱山汚染地域調査、2)有害金属の固体化を触媒する微生物代謝機構のゲノミクス解析、3)固体・不溶性の有害金属を代謝利用する微生物を電気化学培養。 上記(1)では、鉄、銅、ヒ素、アンチモンなど異なる重金属による高濃度汚染が確認された鉱山跡地における調査を実施した。採取した汚染環境試料について、16S rRNA遺伝子配列をターゲットとするアンプリコンシーケンシングにより微生物群集解析を進めている。(2)では、有害金属の固体化を触媒する微生物に関して、分離培養に成功した好気的ヒ素酸化細菌、嫌気的ヒ素酸化細菌、およびアンチモン酸化還元細菌について、ゲノム配列同定のためのDNA調整を実施した。これら分離培養株のうち代表的な株については、ロングリードによるシーケンシングを実施するため、大量培養法およびDNA抽出方法を検討し、質・量ともに十分なDNAを得る事が可能となった。 また、これまでの毒性元素の生物変換では、主に溶解性の基質を利用する微生物が研究対象とされており、汚染環境に多く存在する固体毒性元素の生物利用機構については未解明な部分が多い。そこで(3)では、採取した汚染環境試料を用いて、電気化学培養を実施し、電気化学的に集積された微生物群の同定を実施した。その結果、高濃度の毒性元素存在下で電気活性の上昇が検出され、電極には金属代謝細菌が集積している事が確認できた。この結果より、毒性元素汚染環境中に電気活性微生物が存在している事が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、当初の計画通り鉱山汚染地域の調査を実施しており、汚染現場での有害金属形態変化に関与している微生物群集解析についても順調に進んでいる。また、有害金属固体化に関与する微生物代謝機構の同定のためゲノム配列解析を進めているが、ロングリード配列解読用の試料も調整済みであり、今後の解析も問題なく実施できる見込みである。また、電気培養系の活性も確認できており、次年度以降に予定していた固体有害金属代謝に関与する微生物群の培養についても順調に実施できる見込みである。これらの結果から、おおむね当初の目的に沿って順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
鉱山汚染地域において毒性元素の動態プロセスに関与している微生物要因を調べるため、鉱山廃棄物や汚染土壌など汚染環境試料中の微生物解析を、次世代シーケンサーを用いた分子系統解析により実施する。有害金属の固体化を触媒する微生物の分離培養株から得られたゲノム配列解読データについて、比較ゲノム解析を実施し金属代謝に関与している代謝制御因子を同定する。さらに、鉱山汚染土壌を接種源とした微生物電気培養系で活性が確認されている系については、集積培養および活性モニタリングを継続するとともに、主要な構成微生物種の分離培養を継続する。また、高電気活性や集積が検出されている系については、得られた培養系については微生物系統の同定とゲノム解析を実施する。
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