研究実績の概要 |
計画通り、本年度は、プラおよびバイオマスのガス化を促進するシナジー効果を発現することが可能か、その検討を実施した。共熱分解におけるスギ粒子サイズの影響を検討するため、75 μmの粉末~1,000 μmの粒子まで複数の粒子サイズの試料を調製した。 ガス化を促進するために、比較的高い温度である700 ℃で共熱分解試験を実施した。スギの熱分解によるポリエチレンのガス化促進効果を狙うため、スギ:ポリエチレンは重量比で10:90で混合した。その結果、スギ粒子サイズが小さい程、つまり、スギの熱分解生成物とポリエチレンの熱分解生成物がより効率的に接触する条件において、ポリエチレン由来のガス収率が大きく増大するシナジー効果を発見した。シナジー効果は、Yield Difference(YD)指標(共熱分解により得た生成物収率/単体の熱分解収率から計算される収率)により定量的に評価した。YDiが1を上回る場合、生成物iは相互作用によって収量が増加したことを、1を下回る場合、減少したことを意味する。例えば、75 μmの粒径のスギを用いた場合、ガスのYDは2.8まで劇的に向上した。さらに、スギ由来のチャー(炭化物)およびポリエチレン由来のワックスのYDはそれぞれ0.4および0.5となった。よって、本年度は、計画通り、ガス化促進および固体生成物抑制のシナジー効果を確認することができた。これらの成果は、K. Kasataka, S. Kumagai, T. Kameda, Y. Saito, T. Yoshioka, Bioresource Technology Report, 11 100431 (2020)にて発表した。
|